食材を使い切るメニューを実現 サステナブルな新店3選
「刺し身」「焼き」「煮込み」のマグロ尽くし 廃棄されていた内臓はホルモン焼きで
2022年に1号店を開業、4店舗目となる錦糸町本店を5月にオープンした「マグロスタンダード」は、「刺し身、寿司とは違うマグロの新しい食べ方を」として、“マグロ焼肉”“揚げ”“煮込み”“熟成”など、さまざまな料理で提供するマグロ専門居酒屋だ。その新しい食べ方提案も魅力だが、サステナブルな居酒屋を目指してこれまで魚の餌にするか廃棄され、市場には流通していなかったマグロの内臓などの未利用部位を積極活用することで、同店でしか味わえない独創的な料理を展開している。 マグロをロースターで焼く「マグロ焼肉」は、エラブタ、腸管、ハツモト、レバー、ホホ肉など、希少部位を含む12種類を用意。お通しにはマグロ養殖場でさまざまな産地が混ざったため売り物にならない「お困り食材のマグロ」を使用している。 「日本で昔から愛されてきたマグロは捨てるところのないおいしい食材」(宮崎元成オーナー)という考えが、自然な形で食品ロス削減の理念に結びついた好例といえるだろう。 【SDGsの取り組み】 ・マグロの端材をお通しに、内臓を「マグロ焼肉」や刺し身などで提供 ・野菜の芯をコールスローやキムチに ●店舗情報「マグロスタンダード 錦糸町本店」所在地=東京都墨田区江東橋2-15-6/坪数・席数=23坪・43席/営業時間=午後4時~午前1時(土曜午後1時~、日曜午後1時~午前0時)/平均客単価=2800~3000円
五つ星店レベルの味を下町価格で提供 ラム肉の端材を食感のアクセントに
「味は五つ星店、店内は港区、価格は下町」という本格洋食&ナチュラルワインのビストロが7月にオープンした。同店のSDGsの取り組みは、長年交流のある八百屋から不揃いの野菜を積極的に仕入れ、付け合わせの野菜やピューレ、フリットなどに活用。また、姉妹店のジンギスカン店で出るラムの骨は同店で煮込んでだしに、端材も料理の食感のアクセントになるような使い方で調理している。 「私の周囲でもSDGsのキーワードを普通に耳にするようになった。“理念”と気負うほどではなく、“まずはできることから始めてみよう”とカジュアルに取り組んでいる」と、同店を運営するアクセットの椎名健仁代表取締役。この考え方こそ、飲食店がSDGsに取り組もうという際に持つべき視点かもしれない。 【SDGsの取り組み】 ・売り物になりづらい規格外の野菜を付け合わせ、ピューレ、「季節の野菜フリット」などに調理して提供 ・ラム肉の骨や、系列のジンギスカン店で出る端材をだしに活用 ●店舗情報「大人洋食Bistro1996,」所在地=東京都墨田区太平1-14-9/坪数・席数=11坪・22席/営業時間=午後4時~午後11時/平均客単価=6000円
日本食糧新聞社