独自の民族行事、集落ごとに言葉が違う…四国の最西端・佐田岬半島にある「愛媛県伊方町」の魅力とは?
続いて話を伺ったのは、伊方町に伝わる伝統工芸のひとつ「裂き織り(さきおり)」に魅せられ、広島から移住してきたという橋田とよ(はしだ・とよ)さんです。 裂き織りとは、「古い布を裂いて、それを糸状にしたものを織る技法のことです」と橋田さん。通常の機織り(はたおり)は糸と糸で織り込むのに対し、裂き織りは「いらなくなった布を裂いて再利用するというところに特色があると思います」と言います。 そんな裂き織りを一目見たときに「惚れ込んでしまいました」と橋田さん。というのも、「私はそれまで、モノがリサイクルで蘇るのって、例えば、工場で化学薬品などを使って仕上げていく過程があるのだろうと勝手に思い込んでいたんですけど、裂き織りは本当に指先ひとつの力でモノが生まれ変わっていく工程を見て、カチコチになっていた自分のマインドが“ハッ”となるような、目からウロコのような感じでした」と当時受けた衝撃を振り返ります。
現在、このまちで工房「をへや」を営んでいる橋田さん。昔は、上着などの衣類として作られることが多かったという裂き織りですが、橋田さんは時代に併せてアップデートしています。 その理由について、「いまは、防寒着だとダウンやフリースなどもっと軽くてあたたかいものもありますので、正直、(従来の用途だと)実用性としては難しいのかなと考えました」と語ります。そこで橋田さんは、裂き織りでテディベアやタペストリーを作るなど、インテリアとして楽しめるものにも発展させています。
このまちに移住してみた感想を伺うと、「いつも用もないのに近所の方とかが来てくれたりして、すごく世話を焼いてくれます(笑)。とても居心地いいです」と笑顔をのぞかせます。特に食べ物がおいしいといい、「地元の方は、昔からなんですけど、おそらく自給自足の部分があって、自分で食べる野菜とか貝類、釣った魚などを持ってきてくれたりします。私は全然農作業はしていないんですけど、(食材を)いただくことが本当に多くて。塩といいオリーブオイルがあったらすごく贅沢な食卓になります」とも。 スタジオで、裂き織りで作られたランチョンマットを手にした小山は、「結構、伸縮性がありますね」とその手触りにビックリ。宇賀も「すごく丈夫で、しっかりしている」とうなずくと、小山は「(裂き織りで)暖簾を作ってもオシャレそうですよね」と見入っていました。 また、この日の「音の風景印」では、ほかにも、郷土料理に詳しい小林文夫(こばやし・ふみお)さんや愛媛県立三崎高校の皆さんの声など、“音”で愛媛県伊方町の魅力をお届けしました。 (TOKYO FM「日本郵便 SUNDAY’S POST」2024年11月10日(日)放送より)