箱根駅伝Stories/次期エースの証明を 大東大・入濵輝大「チームに流れを呼び込みたい」
新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。 箱根駅伝2025 大東大のエントリー選手名鑑をチェック!
危機感からロードでも強さを
大東大の入濵輝大(3年)は10000mで現チーム内トップ、大学歴代2位の28分13秒80を持つ。ただ、トラックのスピードに比べ、駅伝での勝負強さが課題。箱根駅伝は1年時3区18位、2年時も同区間で16位と力を発揮できていなかった。 「三大駅伝すべて5位以内」を目標に掲げた今季の大東大。出雲駅伝10位、全日本大学駅伝11位といずれも届かなかった。その影に隠れてはいたものの、入濵は出雲1区5位、全日本4区6位といずれも好成績を収めている。 真名子圭監督に「結果出そうよ。区間5番以内を取ろう」と送り出されて挑んだ出雲の1区。入濵は「スローペースになって驚きましたが、ラスト勝負になると分かっていました」。 ペースの上げ下げがあったなか、冷静に集団後方でレース全体を見渡す。最後は青学大の鶴川正也(4年)、アイビーリーグ選抜のキーラン・トゥンティベイト、國學院大の青木瑠郁(3年)、帝京大の山中博生(4年)に先行されたものの、14秒差の区間5位で指揮官の期待に応えた。 全日本も「前回、前々回に比べ成長を感じた駅伝でした。突っ込んで入り、落とさず押していけました」と入濵。3区のルーキー・中澤真人から11位でタスキを受けた時点で8位とは44秒あった差を22秒まで詰める。流れを引き寄せる力強い走りを見せた。 今年の入濵は何かが違うと、周囲の誰もが感じている。「ようやく安定して駅伝を走れるように変わってきているのは心強いです」と真名子監督。そこには大濱逞真(1年)や棟方一楽(2年)ら下級生の台頭がある。 真名子監督は「入濵はいつも先輩や同級生にくっついていくタイプ。兄貴肌な人が必要でした」と語る。練習でももう少し追い込んでほしいところで力を抑えてしまう傾向があったという。 西川千青や西代雄豪ら、今季のチームをけん引する強い4年生は卒業する。「1年後にはお前たちがチームを引っ張っていくんだぞ」。真名子監督の言葉で、入濵の心に危機感が生まれた。エースの座を後輩たちに奪われるわけにはいかない……。ようやく入濵が「自分の力はこんなもんじゃない」と言わんばかりに力を発揮し始めた。