アメリカから見た“終戦の日” 変わりゆく第二次世界大戦のイメージ
世論調査に見る「第二次大戦と日本」
世論調査を見ると、とても興味深い現象があります。今年初めにピュー・リサーチセンターの調査では「過去75年間の日米関係で最も重要な出来事は何か」という質問に対して用意した4つの出来事のうち、「第二次大戦」とした回答したのは、日本人の場合17%でしたが、アメリカ人は31%とかなりの差がありました。31%という数字はアメリカ人の回答の中では「2011年東日本大震災」と並んで最も大きな数字となっています。日本人で回答が集中したのは36%の「戦後の日米軍事同盟」で、これについては、アメリカ人は23%でした(複数回答可。用意されたもう一つの出来事は「1980年代から90年代初めの日米経済摩擦」)。 これだけをみるといまだ日本をみつめるアメリカの視点には「戦争で戦った相手」という事実があることがわかります。ただ、アメリカの場合、世代的な差が非常に大きくなっています。65歳以上の場合、「第二次大戦」を挙げたのは、40%に上りますが、50歳から64歳の場合、24%に下がります。戦後に物心がついた層にとっては、やはり第二次大戦はセピア色になりつつあるといえます。 この調査を担当したピュー・リサーチセンターのブルース・ストークス氏を今年2月末に訪ね、お話をうかがったのですが、その際、強調していたのが日本との第二次大戦を見る見方の違いでした。アメリカと違って、日本はどの世代でもほぼ同じ割合で第二次大戦の重要性を上げていて世代間格差がないのに対して、「高い年齢の人が減るに従って、アメリカの場合は第二次大戦の記憶が薄れつつある」と指摘していました。
「原爆投下」「謝罪」で日米間に差
この同じ調査ではほかにも日米間の差が大きいものがありました。例えば、「広島、長崎への原爆投下を正当化できるか」という質問に対しては、日本側の79%の回答者が「正当化できない」としたのに対して、アメリカでは34%にとどまり、逆に56%が「正当化できる」と回答しています。また、「第二次大戦で日本は十分謝罪をしたか」という質問については、日本側の48%が「十分に謝罪した」としているのに対し、アメリカ側は37%にとどまっていました。もっとも「謝罪そのものが不必要」としているアメリカの回答は24%もいるので(日本は15%)、両者を足せば、日米はほぼ同じ数字になります。「謝罪そのものが不必要」がアメリカ側に多いのは非常に興味深いといえます。