なぜ新庄監督は上沢直之に苦言を呈したのか ポスティングシステムが直面した"曲がり角"
日本ハムの新庄剛志監督が発した「直言」が話題を集めている。 8日、鎌ケ谷で行われたチームのスタッフ会議後に報道陣に対応、ソフトバンクへの入団が決まった上沢直之に言及した。 【動画】変幻自在の完全投球! 上沢直之のレッドソックスデビュー戦をチェック 上沢は2023年オフにポスティングシステムを利用してメジャーに挑戦。一時はメジャーに昇格した時期もあったが、大半はマイナーで過ごし、右ひじも痛め1年で帰国。上沢に関しては古巣の日本ハムがオファーを出しながらも、ソフトバンクが4年の大型契約を結んだ。 今回のいきさつについて、新庄監督は「ああいう決断をしたのは悲しかった」と率直な表現をした上で、ポスティングシステムの運用についても目を向けた。 日本ハムでは22年オフにも、ポスティング申請が認められて海を渡った有原航平が今回の上沢と同様に米挑戦後にFA扱いとなり、ソフトバンクに移籍を果たした。 ルール上は問題ないとはいえ、またもチームの主軸がポスティング→メジャー短期挑戦→ソフトバンク入団のルートをたどった。現行のルールではポスティングが認められてメジャー挑戦後にはFA扱いとなるが、この点に関して指揮官は、本来のFA権を取得するまでのせめて1年間、古巣で存分に活躍して、誰もが納得する形の移籍を果たしてほしかったと心情を明かす場面も報じられた。 1998年に「日米間選手契約に関する協定」で導入された同制度をめぐっては球団によってのスタンスも違い、運用においても様々な波紋を呼んでいるため、整備の必要性が浮上している。 「12球団が統一したルールを作るべき」と提言したのは巨人OB、メジャーも経験した上原浩治氏だ。 昨年12月29日に放送された『サンデーモーニング』(TBS系列)にゲスト出演した際に、ソフトバンクへ移籍した上沢直之とポスティングシステムに関して言及する場面があった。 上沢に関しては1回メジャーに挑戦した時点で球団の保有権はなくなり、FAとなるため、必ずしも日本ハムに戻らなければいけないという契約はないとした。 その上で選手は商品のため、より高いオファーがあれば行くのが普通として、ファンの怒りはありながらも上沢のスタンスにも理解を示した。 一方で発端となったポスティングシステムに関しては議論の余地があるとした。 「一番良いのは(ポスティングを)なくすのがベストかもしれないです。(海外)FAがあるわけですから、それを1年早くするとか、FAの1年前しかポスティングを認めませんとか。そういうふうに12球団が統一したルールを作るべきだと思います」と持論を展開した。 「そこが球団によって違うので。球団がNOと言えば、まず認められないルールですから。本当にこれからも問題ですね」と公平性を欠いていることで今後も問題が起こりうると指摘していた。 WBCなど国際大会も含めメジャーとの距離が近づく中、各球団、選手のポスティングシステムを利用して早期挑戦したいという声は止められなくなってきている。 ファン、選手、球団、誰もが納得して「夢への挑戦」を進められるような設備設計への見直し、議論が今季は急務となりそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]