なぜ織田記念での男子100mは“低調”に終わったのか…小池が10秒49でVもライバル欠場…復活ストーリーの行方は?
これまでスタートブロックの足を前後逆にしたり、ストライドの歩数を調整するなど、様々なことを試してきたという。そのなかでレースの流れはしっかりと固めてきた。 「最大速度の部分を意識してきたんです。スタートのピッチが上がりすぎると、中盤のトップスピードが下がる傾向があったので、前半のピッチをできるだけ抑えて、中盤以降に最大速度に達するようなレースを心掛けました。まだ乗り切らない部分はあるんですけど、落ち着いてスタートを出て、顔を上げてから思いっ切り走るというのはできましたね。米国のレースはゴールしたときにエネルギーを持て余した状態だったので、今回は比較的悪くなかったかなと思います」 小池が言うには、国内レースは決勝になると大半の選手が前半から飛ばす傾向があるという。昨年の日本選手権は東京五輪の参加標準記録(10秒05)を5人が突破した状態で迎えるなど、3枚の代表キップをめぐる戦いは激化した。 「勝ちたい」という気持ちが、日本人選手のレースプランを狂わせたのかもしれない。 小池は2019年に9秒98(+0.5)をマークするも、昨季のシーズンベストは10秒13(+2.0)。昨季は50m以降にスピードが上がらなかったという。そのため今季は世界トップクラスのスプリンターと同じスピード曲線を目指している。 「トップスピードの高さが僕にとって一番大事。その出現期間を40~50mではなく、60~70mまで引っ張っていきたい。世界大会決勝のデータを見ても、間違いなくその方がいいんです」 日本陸連科学委員会のデータでも山縣(9秒95)、桐生(9秒98)、小池(9秒98)、多田(10秒01)が自己ベストをマークしたときは、山縣、小池、多田は55m付近、桐生は65m付近で速度がピークに達している。その最高速度は山縣が11.62m/s、小池が11.58m/s、多田が11.52m/s、桐生が11.70m/sだった。 「最高速度で11.60m/s以上を出さないと9秒台はほぼ出ない。僕はスタート(序盤)が遅いことを考えると、もうちょっと求めていきたいですね。走りの型はかたまっているので、好条件が来るのを待とうかなと思っています」