還暦を迎えた筧利夫「役者が趣味になってきた」仕事に対する価値観が変化
還暦で一念発起「移住」という選択
――60歳を機に東京から熱海に移住されたそうですね。 筧利夫: もともと東京に住んでいる意味はないと思っていたんです。映画やドラマの撮影場所が地方ということも多いですし、撮影の前日に現場近くのビジネスホテルを取って、撮影期間はずっとそこに泊まることもあったので、東京に住んでいても家賃が高いだけだと感じていました。それなら理想的な家に住みたいと思い、地方を探したら熱海にいいところがあったので、心機一転、移住することを決めました。 でも、移住することは自分にとって勝負でしたね。正直、ずっと東京のマンションに住んでいても何の問題もなかったんです。ただ、それだと何も変わらない。だから、いっそのこと東京に住むのをやめようと、地方の一軒家にしようと決断しました。 ――移住してみて東京と違う点はありましたか。 筧利夫: 東京って何でもあって便利なんですけど、仕事をやってない時に家にいると「俺はここで何をやってるんだ? 仕事待ちをしているのか?」というストレスを感じていました。でも、熱海には“ない良さ”があるんです。緑も多くて自然に触れ合える機会も多い。「ここにいる間は俺の時間なんだ」と穏やかな気持ちでいられるんです。絶対的に熱海に移住した今の方が心が平穏になりました。 もし移住してなかったら何も変わることなく、ただ悶々とした毎日を過ごしていたかもしれません。確実に住まいを変えて自分自身が変わったと感じます。これまでは東京からリフレッシュしに熱海に行ってましたけど、今の自分は熱海にいて、東京にリフレッシュしに行く。これはとても大きな変化でしたね。 ====== 筧 利夫(かけいとしお) 1962年、静岡県浜松市生まれ。大阪芸術大学に入学後、「劇団☆新感線」で俳優デビュー。大学卒業と同時に上京、劇団「第三舞台」で活躍したほか、「踊る大捜査線」シリーズをはじめ映画、ドラマ、バラエティー番組MCなどマルチに活躍。2022年12月16日公開の映画「Dr.コトー診療所」、12月30日公開の映画「近江商人、走る!」に出演。