H3ロケット3号機打ち上げ成功 本格運用へ「キラリと光る技術」を磨け!
思えば、こうした技術はまさに日本の「お家芸」と言えます。いささか古いですが、クルマの世界で思い出すのが、富士重工業(現・SUBARU)が製造していた「サンバー」という軽自動車のバン。現在はダイハツ工業によるOEM (他社ブランドの自社生産)の供給を受けていますが、自社生産時代のサンバーは、サスペンションに軽バンしては高度な四輪独立懸架が採用されていました。特に初代は、軽バンはおろか乗用車にもほとんどなかった機構です。ソフトな乗り心地とともに、「豆腐の角が崩れない」と評判になり、豆腐屋さん御用達のクルマになったとか。私も小さいころ、豆腐屋さんのサンバーが農道を走っていたのを見たことがあります。まさに積み荷にやさしい技術です。ちなみに、初代サンバーを開発した百瀬晋六さんは航空エンジニア出身です。 また、国際宇宙ステーションに物資を運ぶ日本の補給機「こうのとり」では、新鮮な果物を「ボーナスフード」として宇宙飛行士に届けることがありました。そこで驚いたのはぶどうの輸送。ひと粒ひと粒が個別に梱包され、粒は枝の部分をわずかに残して一つ一つはさみで切ることで果汁が漏れないよう工夫がされていたそうです。ちなみに他国の補給機ではまとめてプラスチックバッグに入れられるため、宇宙ステーションに到着するころには果肉がつぶれて“ジュース”になっているケースもあったとか。 もちろん、これらはスロットリングの技術とは事情を異にしますが、「ユーザーに寄り添う」という意味では根っこは同じ。日本ならではの「技術」であり、ロケットによる輸送サービスにも必要な発想だと思います。 ロケット発射の“場数”が限界がある中、日本の活路は、こうした「キラリと光る技術」を磨くことではないでしょうか。スロットリングの技術は大いにその資格があると思います。ロケット輸送の分野で日本が存在感を示せるかどうか、注目していきたいと思います。 (了)