CS消滅阪神が来季打撃コーチに元中日・和田一浩氏招聘へ
阪神が来季の打撃コーチに、元西武、中日で通算2000本安打を達成している和田一浩氏(46)を招聘する方向であることが4日、明らかになった。 阪神は4日のヤクルト戦に1-2で惜敗して4連敗、3位の巨人が広島に勝利したため、CS出場の可能性が完全消滅し2年ぶりのBクラス転落が決定した。 金本知憲監督(50)は、2016年に監督就任以降、4位、2位、Bクラスという成績に終わった。開幕前に「優勝を狙える」と、コメントしていた通り、この3年間の戦力は、決して最下位争いをするようなものではなかったが、結果が伴わず指揮官の資質を問われる戦いとなった。 同じく就任以降、3年連続V逸となった巨人の高橋由伸監督(43)が辞任という形で責任を取っただけに、ネット上では「金本監督はどうなの?」「責任とって辞めるべき」という厳しい意見が多く見られるが、球団は、来季も契約を後2年残している金本体制を維持しての再建を目指す姿勢で、懸念材料だった右打者の打撃コーチとして和田氏の招聘案を固めたものだ。 実は、和田氏には、昨年オフにも非公式に声をかけていて2年越しのラブコールが実りそうな方向となった。 和田氏は、金本監督の東北福祉大の後輩にあたり、神戸製鋼を経て1996年のドラフト4位で捕手として西武に入団。捕手には不動の伊東勤氏がいたため、強打を買われて外野手に転向するなど、西武時代の2005年に首位打者を獲得。出身が岐阜だったこともあり、2007年オフにFAで中日に移籍して2010年にはリーグ優勝に貢献、リーグMVPに輝いている。2015年に引退後、解説者生活に入り、指導者の経験はないが、史上最年長で、通算2000本安打を達成するなど苦労を重ねた卓越した野球理論には定評がある。 阪神は、金本監督以下、片岡篤史ヘッド兼打撃コーチ、平野恵一打撃コーチと、1軍首脳陣の打撃指導者の全員が現役時代に左打者で、大山悠輔、北條史也、中谷将大、陽川尚将らの伸び悩む右打ちの若手を育成するため、現役時代に右打者として実績のある打撃コーチの招聘が急務とされていた。 阪神は1軍に上がってきた右打者に右打ちを徹底させる傾向があり、右打ちを意識させられると、どうしても左肩が少し開き右手で押し込むようなバッティングとなる。すると体の軸回転の意識が気薄になりバッドのヘッドが出てこなくなる。 加えて金本監督がカウントを追い込まれてからの「粘り」を課題にしていたため、軸足重心でしっかりとボールを引きつけて打つという金本理論が、そこにプラスされると、なおさらバットのヘッドが出てこず、いわゆるボールの前さばきができなくなる悪循環に陥っていた。 だが、元右打者の打撃コーチがいないため、そういう弊害を修正できないままシーズンが過ぎた。 和田氏も、現役時代に統一球に変わった際に、壁にぶちあたった経験を持ち、ボールの前さばきを意識することで苦難を乗り越えている。そういう和田氏ならば、悩める虎の右打者の絶好の指南役になれるという期待感がある。 今季はチーム打率.254はリーグ5位、チーム本塁打84本は、リーグ最下位など“貧打”に苦しんだ。来季の浮上を狙うには、打線のテコ入れが必須で、閉塞感のあるコーチングスタッフに刺激を与えるためにもコーチ陣の刷新が必要とされていた。内部調整だけでなく“外の血”を入れることが重要となる。 和田氏にはシーズン終了を待って正式な打撃コーチ就任の要請が行われる方向だ。