F1第2戦でトロロッソ・ホンダはなぜ急激進化を見せたのか?
「信じられないほど素晴らしい一日だ!」 バーレーンGPでF1ドライバーとして、初入賞を達成したピエール・ガスリーは、そう語って4位入賞を喜んだ。 ガスリーの4位入賞は、トロロッソ・ホンダにとっても価値のある結果となった。2006年に設立したイタリアのチームであるトロロッソにとって、4位は08年のイタリアGPの優勝に次ぐ好成績だった。また、15年にF1に復帰したホンダにとっては、過去3年間の最高位だった5位を上回る結果だった。 バーレーンGPでの4位は、ガスリーにとっても、トロロッソにとっても、そしてホンダにとっても、望みうる最高の結果だった。 望外の結果ともいえる4位をトロロッソ・ホンダが獲得できたのは、トップ3チームの6人のドライバーのうち、キミ・ライコネン(フェラーリ)とレッドブルの2人がリタイアしたことが大きかったことは事実である。しかし、ガスリーから12秒遅れの5位でフィニッシュしたハースのケビン・マグヌッセンは、「精一杯のレースができたし、チームも完璧な仕事をした。それでも、前を走っていた4番手のガスリーは速すぎて、ついていけなかったから、今日は5位で満足しなければならない」と潔く負けを認めた。 また、昨年までホンダを走らせ、開幕前に「トロロッソ・ホンダがトップ5入りすれば拍手喝采する」と語っていたフェルナンド・アロンソ(マクラーレン)は、ホンダの活躍について次のようにコメントした。 「オーストラリアで彼らが抱えていた様々なトラブルや結果を見れば、バーレーンでのトロロッソのペースは驚きではあるけど、ここ数年の成績を見れば、トロロッソがバーレーンで速いことはわかっていた。ただ、今年は想像していたよりも競争力があったのは確かだけどね」 開幕戦で最下位だったトロロッソ・ホンダが、バーレーンGPでトップ3チームに次ぐポジションまでジャンプアップした理由は、大きく分けて3つある。まずドライバーの成長だ。 例えば、開幕戦の予選でガスリーが最下位に終わったのは、タイムアタックでミスしたからだった。開幕戦の舞台であるアルバートパーク・サーキットはガスリーにとって初めて走るコース。一般道を利用した半市街地コースであるうえに、路面がデコボコしているいわゆるバンピーなコースとして悪名高い。ガスリーのミスはブレーキングポイントでバンプ(路面の凹凸)に乗って、ブレーキをロックさせたからだった。 だが、バーレーンGPの舞台であるバーレーン・インターナショナル・サーキットは、パーマネントコースで路面はスムーズなことで知られている。さらにF1への登竜門であるGP2(現在のF2)もF1のバーレーンGP時にサポートレースとして開催されていたため、2016年までGP2に参戦していたガスリーに走行経験があったことも、バーレーンGPでのQ3進出に貢献した。