F1第2戦でトロロッソ・ホンダはなぜ急激進化を見せたのか?
次にトロロッソの車体の進化だ。バーレーンGPにトロロッソは、新しい空力パッケージを持ち込んだ。金曜日にガスリーが新パーツを装着し、旧パーツを使用したチームメートのブレンドン・ハートレーと比較テストを行い、性能向上を確認したうえで、土曜日以降は2台そろって新しい空力パッケージを走らせた。 トロロッソのエンジニアによれば、「新空力パッケージは、ダウンフォース量を維持しつつ、空気抵抗を軽減した仕様」となっており、ストレートスピードが向上するメリットがある。バーレーン・インターナショナル・サーキットは4本のストレートを低速コーナーでつないだレイアウトとなっており、その4本のストレートでいかにスピードをあげることができるかが重要となる。 いまだピークパワーにおいては4マニュファクチャラーの中でテールエンダーであるホンダだが、バーレーンGPの予選時の最高速ではガスリーが10番手となる322.5km/hをマーク。フェラーリのセバスチャン・ベッテルとはわずか0.3km/hしか違わなかったのは、そんな理由からだった。 そして、3つ目の要因は、ホンダの改善だ。開幕戦で MGU-Hにトラブルを抱えたホンダは、その後HRD Sakuraで徹底した調査を行い、バーレーンGPには対策を施した改良型 MGU-Hを持ち込んだ。その詳細は明らかにされていないが、開幕戦から短期間だったにもかかわらず、同じトラブルを引き起こさなかったところを見ると、抜本的な改良が行われたのではないかと想像できる。 昨年までもホンダはトラブルを何度となく引き起こしていたが、なかなかその連鎖を食い止めることができなかった。それは問題に対して、言い方は悪いが、ややその場しのぎの対策に終始していたからではないかと想像する。それが今年は問題点を多角的に分析し、根本的に改善する体制が整っているように思う。これはホンダ側の努力だけでなく、トラブルに対して、ホンダに余計なプレッシャーをかけないトロロッソ側のサポートも大きく影響している。 「ホンダの研究開発所であるHRD Sakuraのみんなに感謝したい。パフォーマンスはもちろん、信頼性を大幅に改善するために、冬の数カ月を通して素晴らしい仕事をしてくれた。そのおかげで、今、われわれはトップのポジションを争っている。今日のような戦いができれば、どのレースでもポイント獲得は可能だと確信している」 レース後、そう語ったフランツ・トスト(チーム代表)に、筆者も同意する。 今日13日からは中国GPのフリー走行。バーレーンGPで健闘したトロロッソ・ホンダの真価が問われることになる。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)