“救世主”伊東純也と争った前回最終予選に堂安律「当時はイライラしていたけど…」「甘かったな、若かったなと」
日本代表の顔である「背番号10」として臨む初めてのワールドカップ最終予選。MF堂安律(フライブルク)にとっては、前回大会の最終予選から生まれ変わった姿を印象づける格好の機会となる。 【写真】「スタイル抜群」「目のやり場に困る」“勝利の女神”のアウェー遠征に反響 カタールW杯最終予選での堂安は、痛恨の敗戦を喫した初戦オマーン戦の27分間、2-0でリードした状態で終盤からピッチに立った第7戦中国戦の5分間のみの出場。その間、右ウイングではMF伊東純也が圧倒的な実績を残し、そのまま森保ジャパンの攻撃の柱として序列を大きく上げる形となっていた。 堂安は今回の最終予選に向け、欧州からの移動中の機内で当時のことを思い返していたという。 「飛行機の中から自分の中で前回の最終予選を振り返りながら、自分自身のアプローチのところで甘かったな、若かったなと思うことがたくさんある。技術は間違いなく日本が勝っていると思うので、そこじゃなく、試合前の入り方の準備とかでしっかり抜け目なくやっていく必要がある」 そうチームの引き締めにも意欲を見せた堂安は伊東とのポジション争いを「単純に実力が足りなかった。得点やアシストもなかったし、代わりに純也くんが出て、間違いなく救世主の働きをしていた。いま思えば理解はできる」と回顧。「あの当時はイライラしていましたけども……(笑)」と報道陣を笑わせつつも、「客観的に自分に足りなかったものはW杯前には気付いていたし、そこに向き合いながら準備ができていた」とW杯での2ゴールを挙げる飛躍に至ったシナリオを振り返った。 これからは最終予選以降の実績も引っさげ、より冷静にポジション争いに挑む構えだ。今回の活動では伊東がアジア杯以来の復帰を果たしたが、堂安は「プレースタイルが違うので自分たちがやらないといけないプレーも違うと思うけど、自分自身チームでいろんな幅を広げて、使い勝手のいい選手になれていると思う。そこは自信もあるのでしっかりアピールしていきたい」と静かに闘志を燃やした。 また自身の序列よりも強調したのは、勝利へのこだわりだ。「アジア杯で学んだこともたくさんある。もちろん圧勝できれば最高だけど1-0でもいい。しっかり勝ち点3にこだわってやりたい」。自身がピッチに立ったアジア杯での8強敗退という屈辱を経て、より強く「チームを勝たせる選手」への道を歩もうとしている。 「日本が圧倒的に優勝したいという思い、理想はある中、理想だけを求めたら相手に負けてしまう。泥臭くても1-0で勝ち切るとか、綺麗なサッカーで点を取れなくても相手が前から来るならロングボールでもいいと思うし、自分たちがやりたいことだけが全てできるわけではない」 W杯につながる最終予選で貫くのは、揺るがぬ勝利への姿勢。「今まではフレンドリーマッチとかでテストしたりもできたけど、そういうことを言っていられる状況ではない。最初の2戦取れたらでかいと思うし、勝ちにこだわって頑張りたい」。日本の10番として、その模範的な姿を示していく構えだ。