浦和学院、優勝候補の一角・聖望学園をPK戦の末に下す
令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選第3日は6月8日、プレミアリーグEASTの昌平とプリンリーグ関東2部の西武台、関東高校大会予選を制した正智深谷と同準優勝の東京成徳大深谷が登場。3回戦8試合が行われ、ベスト8が決まった。 【フォトギャラリー】聖望学園 vs 浦和学院 1997、98年に予選2位でインターハイに出場している浦和学院は、関東高校大会予選4強で、県最上位のS1(1部)リーグ暫定首位の聖望学園を1-1からのPK戦(4-3)で下し、6月9日の準々決勝で浦和東と激突する。 3-4-3の浦和学院は、主将のボランチ平瀬優真(3年)が正確なパスを左右に散らし、左ウイング佐藤大心(3年)と右ウイング平昭一哉(2年)が外からの仕掛けを試みた。長いキックを使って相手守備陣の背後を狙う攻めも織り交ぜている。 浦和学院は前半12分、左ウイングバック長島蒼空(2年)の左クロスを平昭がヘディングシュート。14分にも平瀬のロングパスを受けたFW橋本秀太(3年)が強シュートを放ったが、DFのブロックに遭った。 リズムをつかんでいた20分だ。佐藤が左を鋭く突破してセンタリング、ゴール前で混戦となったところを平昭が先制ゴールを決めた。 攻撃の核であり、セットプレーのキッカーも務めるMF野元里晟(3年)を負傷で欠く聖望学園は、初戦の2回戦はベンチスタートだったFW太仲貴哉(3年)が先発。高さに加え、キープ力があるだけにくさびのパスから重要な起点となった。 中盤戦までは本来の鋭いサイドアタックが不発で、太仲へ生きた最終パスを供給できずにいた。しかし先制された後の前半30分、ボランチの小山晃也(3年)が右ポストをかすめる惜しいミドルシュートを放った直後だった。相手のパスをカットした太仲のシュートがDFに弾かれ、こぼれ球を素早く拾ったトップ下の田中翼(2年)が蹴り込んで同点にした。 前半を1-1で折り返すと、後半は聖望学園の時間が続いた。11分の太仲のシュートはDFに跳ね返され、これで得た右CKが混戦になったところをCB武田渉吾(3年)が左から決定的な一撃をお見舞いしたが、左ポストのわずかに外だった。 聖望学園は26分、ファサン ダニエルと増本怜音(ともに3年)の強力FWを投入、浦和学院は半ば過ぎから4バックに変更し、守備の安定を図った。 後半はともに無得点で延長に突入。得点チャンスのなかった浦和学院に対し、聖望学園は前半9分にダニエル、後半5分に交代出場のMF海沼隆一郎(3年)が強烈なシュートを放ったが、いずれもGKの好守に阻止された。 延長でも点が入らずPK戦にもつれ込んだ。先蹴りの聖望学園は3人目がバーに当てて失敗し、浦和学院は4人目まで全員成功。聖望学園の5番手がGK岡本悠汰(3年)に止められ、4-3で決着した。 5年間指揮を執った村松浩監督に代わり、1月の新人大会南部支部予選からさい配を振るう川上耕平監督は、「うちはセットプレーからの失点が多いんですが、高さのある聖望学園相手にやられなかったのが収穫」と満面に笑みを浮かべながら試合を振り返った。 途中から4バックにして柔軟な対応を見せ、最少の1失点でこらえた。昨季までの8年間、コーチを任されていた“新人監督”は「よくやってくれたが、ここで満足したら終わり。まだ明日もあるし、その次もありますから」と手綱を締め直す一方で、優勝候補の一角を倒したことでベンチ外の部員ともハイタッチして喜びを爆発させた 試合の中でもPK戦でも大活躍したのが、昨季からゴールマウスを守るGK岡本だ。「最後のキッカーには“俺なら止められる”と言い聞かせてコースを読みました」と説明し、「明日はPK戦でもいいから無失点で勝ちたい」と話し、聖望学園には昨秋の第102回全国高校選手権予選2回戦でFKからの失点で惜敗しただけに、喜びもひとしおだろう。 PK戦では1番手として成功させた主将の平瀬は、「S2リーグでは埼玉平成と西武台セカンドに連敗してインハイ予選に入ったので少し心配していました」と言うが、「この大会からユニホームを一新したんですが、3連勝ですから験がいいみたいです。明日は勝つことだけを考えてピッチに入りたい」と闘争心をたぎらせた。 (文・写真=河野正)