障害者ホーム3軒ともひどかった…連続でやむなく退去、母は途方に暮れた 重度でもOKのはずが、質より量?
各市区町村の評価会議では、恵以外の事業者のGHにも厳しい評価が示されている。 例えば、重度者向けGHでは最大手とされる「ソーシャルインクルー」(東京)。各地で200カ所以上を運営するが、名古屋市と兵庫県川西市の評価会議では「人らしい生活を送れる環境を確保すること」「家族から預かった重要書類を紛失しており、保管方法に問題がある」といった指摘が出た。 川西市のGHでは長期間、入居者への威圧的な言動があったほか、スタッフの1人が暴力を振るったとして、今年1月、兵庫県が新規利用者の受け入れを半年間停止する行政処分を出した。東京都内でも、少なくとも1カ所のGHで自治体に虐待が認定されたことが分かっている。 同社に取材すると、こう回答があった。「利用者、家族には大変申し訳なく、責任を痛感している。営利を優先して職場環境やサービスの質を落とすようなことは決して行っていない。誠心誠意、適切な施設運営に取り組んでいく」
▽「強制力がなく、評価しても意味ない」との声も 一方、この評価の仕組みは実効性に疑問の声も出ている。重度者向けGHがある59市に評価の実施状況を聞いてみると、9市は「年1回以上の評価ができているケースは1カ所もない、またはできる態勢が整っていない」と回答。2市は「年1回以上の評価が一部のGHにとどまっていたり、一部は頻度が年1回よりも少なかったりする」と答えた。19%に当たる計11市では、徹底されていないということだ。 評価を実施している自治体でも「評価結果に強制力がないため、意味がない」との声がある。 愛知県内の自治体で評価に関わる関係者は、こうこぼす。「問題ある事業者に改善を求めると、『分かりました』と返事はするのだが、実行されない。でも、私たちに何かできるわけではない」 厚生労働省は、重度者向けを含めたGH全体の質確保に向け、2025年度から各GHに対し、地域住民や入居者家族らによる会議を設置するよう義務化する方針だ。ただ、専門家からは「チェックの結果に実効性を持たせなければ、今の評価制度の二の舞いになるだけ」との意見が既に出ている。