障害者ホーム3軒ともひどかった…連続でやむなく退去、母は途方に暮れた 重度でもOKのはずが、質より量?
事業者への報酬は、障害が重いほど高くなる仕組みで「営利企業には魅力的」(自治体担当者)だ。2020年4月時点では全国に182カ所だけだったが、福祉の経験がない株式会社などが次々と参入し、昨年10月には約959カ所と5倍超に増えた。入居者は約1万4千人いる。 ▽スキルのある人材が不足…3割の自治体が「問題ある」 自治体はこの重度者向けGHをどう見ているのか。調査してみた。入居者が100人以上いる31都道府県を抽出し、その政令市、中核市、都県庁所在地69市区を対象に、昨年12月にアンケートを実施。全てから回答を得た。 実際に重度者向けGHがあるのは59市(昨年11月1日時点)。既に問題が明らかになっている「恵」以外について、支援の質や入居者の権利擁護などに関する認識を尋ねると、19市(32%)が「問題があると思う」(「どちらかといえば」を含む)と回答した。問題があると思う内容としては「職員のスキルや支援の質が伴っていない」が最も多かった。
59市でGH数は370(恵を含む)。単純計算すると、2020年度以降、少なくとも20%(74カ所)で虐待疑いの通報があった。6%(23カ所)では認定されていた。 問題が起きている背景を69市区全てに聞くと、「支援スキルのある人材が不足している」が最多で、「重度者の地域での受け皿が不足している」「参入ハードルが低すぎる」と続いた。 今後、どんな対策が必要だと思うかも聞いた。すると「スタッフの資格要件や研修の導入」がトップだった。次いで「支援内容やサービスの質に関する指針(ガイドライン)の策定」「事業所指定の要件厳格化など参入ハードルを上げる」が多かった。 ▽第三者による評価の会議では厳しい指摘が 実は、この重度者向けGHには第三者の目を入れたチェックの仕組みがある。入居者が日中もGHで過ごせるため、外部との接点が少なく閉鎖的になる恐れがあるからだ。福祉関係者や有識者らでつくる市区町村の会議で年1回以上、評価を受けるよう、国の運営基準や自治体向け通知で義務付けられている。