韓国美容業界のユニコーン「APR」 が上場、時価総額2700億円に
韓国の美容機器メーカー「APR」は2月27日、韓国取引所に上場を果たした。初日の株価は27%上昇し、時価総額は約2兆4000億ウォン(約2710億円)に達した。 同社は、予想レンジの14万7000~20万ウォンを大きく上回る1株25万ウォンで37万9000株を売り出し、948億ウォン(約106億円)を調達した。初日の終値は31万7500ウォンだった。同社は、調達した資金を生産施設の拡張や海外マーケティング活動、研究開発に充当する予定だ。海外マーケティングは主に米国、日本、中国でソーシャルメディアインフルエンサーを活用した活動を行う予定だという。 IPO前にAPRに出資した投資家には、韓国のCJグループ傘下のECサイトCJ Onstyle(シージェーオンスタイル)、AIチップのスタートアップのDeepXや小説アプリRadish(2021年にカカオエンターテインメントが4億4000万ドルで買収)などをポートフォリオに持つベンチャーキャピタルのSJ Investment Partners、韓国産業銀行が含まれる。APRの評価額は、昨年6月にCJ Onstyle からの出資を受けた際に10億ドルを突破し、ユニコーン企業の仲間入りを果たしていた。 ソウルに本社を置くAPRは、2014年にキム・ビョンフンとイ・ジュグァンによって設立された。2人は、2017年にフォーブスの「30アンダー30」アジア版に選出されている。イは、2019年に同社を去った。現在35歳のキムは、英語名をビクターと名乗り、同社のCEOを務めている。彼は、同社株式の35%を保有する筆頭株主だ。
生産能力を年間800万台に拡大
APRは「Advance People's Real life」の略で、Medicube(メディキューブ)と呼ばれる美顔製品で知られている。同社のMedicube AGE-Rスキンブースターショットという製品は、電気刺激でスキンケア製品の浸透を高めるもので、ジャスティン・ビーバーの妻であるヘイリー・ビーバーが昨年TikTokで使用していると発言して人気に火が付いた。同社は、IPOの目論見書の中で、2023年11月時点でのMedicube AGE-R製品の販売数が、国内外を合わせて160万台に達したと述べている。 APRの昨年第1~3四半期の売上高3720億ウォン(約420億円)のうち、美容機器が82%を占めた。同期間の純利益は、経費の減少により、2022年度の300億ウォン(約34億円)から570億ウォン(約64億円)に増加している。 APRの製品の約40%は韓国国外で販売されている。最も成長している市場は中国本土、香港、日本、マレーシア、シンガポール、台湾、米国だ。同社は今後、フランス、インド、カタール、タイ、イギリスへの進出を計画している。 ■生産能力を年間800万台に拡大 世界中の人がAPRのデバイスを購入しているのは、同社の技術的な優位性によるものだとCEOのキムは話す。「我々の革新的な技術が他社製品との違いを生み出していると確信している。当社は、美容機器の電気技術に関する特許を約70件管理している」と彼は述べている。 製品ラインナップの拡大に対応するため、APRはソウルの南、ピョンテク(平沢)に第2工場を建設しており、第2四半期に完成する予定だ。これにより、同社の生産能力は年間800万台まで拡大する。 美容業界は、世界で莫大な富を生み出している。韓国では、美容業界から2人が同国の長者番付トップ50にランクインした。1人は、時価総額で韓国最大の化粧品メーカーであるAmorepacific(アモーレパシフィック)の会長のソ・ギョンベ(15位)で、もう1人は、JMソリューションのフェイスマスクで知られるGPクラブの創業者のキム・ジョンウン(34位)だ。
John Kang