メルセデスから25台の浮気? ブラバス900 ロケットRへ試乗 70mmワイドで900馬力の911
運転体験はターボSの延長 素晴らしい乗り心地
最高速度は339km/hが主張されるが、これはタイヤのコンチネンタル・スポーツコンタクト7が許す限界だから。もっと許容値の高いタイヤへ組み替えれば、386km/hに達するらしい。8速PDKのギア比的には、531km/hへ届く。 900 ロケットRの運転体験は、通常の911 ターボSの延長上にある。車高が落とされ、垂直方向の姿勢制御がタイトになっているから、シャシーのレスポンスは一層鋭い。 ステアリングホイールの感触は、意外なことに、ノーマルより軽め。速度が上昇すれば、指先で回せるくらい。ただし、路面の起伏で左右に進路が乱れる、ワンダリングも小さくない。これは、指先では修正が難しい。 ステアリングの反応は、極めて正確。扱いやすさの表れだろう。シュッと鳴くターボのブローオフバルブが、少しうるさい。 乗り心地は素晴らしい。ブラバスといえば速さが最大の強みかもしれないが、長距離ドライブの快適性も重視されている。メルセデス・ベンツとの親和性が高いことにも、納得できる。 穏やかな気持ちで、長時間を過ごせるとは表現しにくい。それでも、足さばきは驚くほどしなやかだ。 ブースト圧が高められた結果、エンジンの第一印象は少し穏やか。とはいえ、加速は極めてスムーズでリニア。240km/hくらいまでは、永遠に速度が上昇していきそうに思える。アスファルトが乾いている限り、トラクションにも不足はない。
911 ターボS級に安定 RS風のドラマチックさ
911 ターボS以上にエネルギッシュだと実感するのは、高回転域までアクセル全開で引っ張った時。それ以外は、通常のポルシェと同じくらい速く安定している。見た目と裏腹に、乗りやすい。 メルセデス・ベンツの一部の役員が、社用車のエンジンをブラバスにチューニングしてもらっていた時代があった。フォルクスワーゲン・ブループのCEO、オリバー・ブルーメ氏が900 ロケットRに乗ることはないかもしれないが、きっと気に入るはず。 992型の秀でた素性はそのままに、GT3 RS風のドラマチックさが追加されている。視線を釘付けにするような、ド派手な出で立ちも。
ブラバス900 ロケットR(欧州仕様)のスペック
英国価格:54万9130ユーロ(約9116万円) 全長:-mm 全幅:-mm 全高:-mm 最高速度:339km/h 0-100km/h加速:2.5秒 燃費:8.1km/L CO2排出量:278g/km 車両重量:1640kg パワートレイン:水平対向6気筒3745cc ツイン・ターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:900ps/7200rpm 最大トルク:101.8kg-m/5100rpm ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)
リチャード・レーン(執筆) 中嶋健治(翻訳)