【政治記者と考える】選挙でのSNSの威力とメディアの役割は?
選挙報道のあり方を問われた兵庫知事選
兵庫県知事選もSNSを使った選挙として象徴的でした。 兵庫県の斎藤元彦知事の不信任決議が提出・可決され、斎藤氏は失職。兵庫県知事選には7人が立候補し、斎藤元彦氏が再選されました。 候補者の一人の立花孝志氏は、SNS上で斎藤氏をサポートする内容を発信していました。 選挙ドットコムの調査でも、立花氏関連の動画が非常に見られたというデータがあり、立花氏の動画が斎藤氏再選の後押しになったという味方もできます。 MC伊藤「兵庫県知事選挙は、どこが印象的でしたか?」 林氏は、東京都知事選で石丸氏が上手く地上戦と空中戦を合流させたのとは異なり、兵庫県知事選は「正直言って、たいぶ荒れた部分はあった」と語りました。 林氏は、今後はSNSvs既存メディア(新聞・テレビ)という構造から、SNSvsネットメディアvs既存メディアの三層構造の中で、これからの選挙報道のあり方を問われた選挙だったと振り返りました。 兵庫県知事選で次点だった稲村和美氏は、選挙期間中に誹謗中傷があったということで、選挙後に訴えを起こしています。 MC伊藤は「SNS上で情報が流通すること自体は良い面もありますが、いろいろな玉石混交の情報が回り、どうしたらより良い状況になるのかというところは、まだ答えが見つかってないと思います」と語りました。 水内氏は兵庫県知事選を「真実を探すという選挙でもあった」と振り返ります。 亡くなられた方もいて一連の経過について「何だったんだろう」という大きな問いがありました。 その中で、既存メディアは、徹底的に一次情報に接して、徹底的に調べて、真実を出すことを徹底的にやってきていると水内氏。「その成果をどう言われようが、我々は調べた結果こうやるんだと突きつけなきゃいけないということをこの選挙で知らされたような気がする」と述べました。
既存メディアの真の価値とは
話題は、SNSが勢いを増していく時代の既存メディアのあり方に移っていきます。 MC伊藤は、取材をして、記事を書くときに全部入りきらないからと削った情報が有権者にとって必要な情報だったかもしれない可能性もあると指摘します。 「それをうまく活かして、世界に見せることができると、今みたいに『オールドメディアは嘘ばっかりだ』という批判への対抗になるのかな」と語りました。 SNSでは「エコチェンバー」や「フィルターバブル」などで、同じような意見の情報が集まりやすい現象があります。 水内氏は「どうしても周りに似たような話が多いと同調したくなっちゃうけど、とんでもないところまでたどり着くような時もある」と指摘します。 石丸氏と対談した際も「ちゃんとした最後の真実に辿り着くためには、既存メディアの人に頑張ってもらうしかないんですよ」という発言もあり、「まさにそこに僕らの役割がある」と水内氏は力を込めます。 林氏「これから有権者のみなさんと一緒にその新しい選挙報道を作っていかなきゃいけない」 既存メディアは、一次情報に直接取材して情報を取る特性があります。偽情報や誤情報が発生した際に「実はこれ、ここが間違ってますよ、ここは違うんですよ」と一次情報を持っているから、根拠を提示をしてみなさんに伝える役割も担えます。 林氏は「結果として、ネットの中の選挙情報のバランスを取っていくことや、より質を上げることに、貢献できるのであれば、それはぜひしていきたいなと思います」 MC伊藤「来年はSNSさらに全盛期になるんじゃないかと思います」 林尚行氏「今年がSNS選挙元年だとすると、来年はそれが早くも問われる1年になりそうですね」 来年もSNSの情報発信が、選挙結果にどのように影響していくのか注目していきましょう。