横浜の住宅街の養豚場、臭い対策の最適化の実証実験…カメラやセンサー18台で24時間測定
「都市型畜産」の課題である臭気対策などを進めるため、NTT東日本神奈川事業部(横浜市中区)は養豚会社(同市泉区)と協力し、豚舎内の環境の最適化を検証する実験を行っている。将来的な臭気対策製品の開発や、豚の健康管理を数値化することなどを目指している。
農林水産省畜産振興課によると、2020年の畜産経営による苦情のうち、約52%が悪臭関連だった。豚舎と近隣民家の距離が比較的近い都市型畜産は、臭気対策が特に重要な問題になっているという。
周辺に住宅が立ち並ぶ養豚会社での実証実験は、6月から11月末までの予定で行われている。約600平方メートルの豚舎には豚約600匹が飼育されており、豚舎内にカメラやセンサー計18台を設置し、温湿度やアンモニア臭気濃度、豚の体格・体温の変化などを24時間測定している。
実証実験は臭気対策だけでなく、家畜を快適な環境下で飼育する「アニマルウェルフェア」の実現も目的としている。豚のふん尿や汗で上昇するアンモニア臭気は、豚の目や皮膚に損傷を与えるほか、二酸化炭素濃度が上昇すると豚の食欲が低下するという。数値を基に対策を取ることで、豚にとって快適な環境作りにつなげていく。
養豚会社の担当者は「豚舎内の空気の流れなど、臭気対策に有効な数値を取りたい」と話し、NTTの担当者は「将来的には個人の養豚場経営者が手軽な値段で購入できる製品を作り、地域に貢献したい」と意気込んでいる。