カニ、マグロ、ウナギ…高級食材が食べられなくなる?日本漁業の問題点を探る記事まとめ
「大幅資源回復の見込み」でも山積するクロマグロ管理の課題、変わらぬ不正・隠ぺい体質でマグロが食卓からなくなる(2024年8月28日)
―― クロマグロがより身近に ―― そんなニュースが今年の夏のニュースを飾った。太平洋クロマグロの国際的な管理を話し合うため7月に北海道・釧路で開かれていた「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)・全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)合同作業部会」および「WPCFC北小委員会」で、太平洋クロマグロのうち30キログラム(㎏)未満の小型魚の漁獲枠を1割増、大型魚の漁獲枠を1.5倍増とすることを柱とする案が合意されたからである。 特に問題がなければ12月に開催予定のWCPFC本委員会で、北小委員会で合意された案が正式に採択される。日本の大型クロマグロの漁獲枠は現在の約5600トンから約2800トンの増加となる予定だ。 太平洋クロマグロに関しては、2010年代初めに資源が危うい状態にあることが認識されるようになった。この資源の国際的な評価を行っている「北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)」は、親魚の資源量(「産卵親魚資源量」と言う)が初期資源量比で約4%と資源状態が劇的に悪化しているとの評価を下したのである。 「大幅資源回復の見込み」でも山積するクロマグロ管理の課題、変わらぬ不正・隠ぺい体質でマグロが食卓からなくなる
<問題は「土用の丑の日」にあらず>減少の一途となるウナギ、消費に適正上限を(2024年10月22日)
2024年は年間6回ある「土用の丑の日」。しかし、ウナギはその日のためだけに存在するのではない。日本で獲れる「ニホンウナギ」は、環境省でも、国際自然保護連合(IUCN)でも、絶滅危惧種としてレッドリストに区分されている。なぜ、このような状況になったのか。そして資源を保全していくためには何が必要なのか─。 このプロセスを考えていくことは、実は様々な社会問題を考えることにもつながっていく。このほど、『日本のウナギ 生態・文化・保全と図鑑』(山と渓谷社)を上梓した、中央大学法学部教授で、保全生態学を専門とする海部健三氏に話を聞いた(聞き手/構成・編集部 友森敏雄)。 天然のニホンウナギの漁獲量は減り続けている。1960年代には3000トンを超える年もあったが、2023年には55トンまで減っている。これに養殖とニホンウナギ以外の種を合わせたウナギの供給量全体で見ても5万2280トンで、ピークだった00年の15万8094トンから3分の1程度になっている。 <問題は「土用の丑の日」にあらず>減少の一途となるウナギ、消費に適正上限を