琉球ゴールデンキングスの桶谷大HCが語る、常勝チームの作り方(前編)「苦しい時を乗り換えるのに一番重要なのは正しいカルチャー」
「負けないとわからない、負けないと出てこない課題はたくさんあります」
――今シーズン、カーク選手と共に大きな変化となったのがロー選手の加入でした。複数の主力選手が去った中、新シーズンではロー選手をしっかりフィットさせることの重要度がより増していきます。 去年、優勝して今シーズンを迎えるにあたって現状維持の考えはなかったです。そこで(ジョシュ)ダンカンからヴィックに変えたところはあります。ヴィックをどう機能させるか、ヴィック自身が周りをどう機能させるのかとなった時、後者の方が重要でした。ただ、彼は責任感が強いが故にどうしても自分が得点を取らないといけない、たくさんのことをやらないといけないと考えすぎる部分があり、一つひとつの判断が遅れてしまったところがありました。新シーズンは、その点についても改善していきたいです。 ――桶谷HCが復帰してから今シーズンは3年目でしたが、過去2シーズンと比べても故障など、苦境が多かったと思います。それでもファイナルに到達したからこそ「ここが成長できた」といった部分はありますか。 時には「こういうトラブルもあるよね」ということだと思います。キャリアの浅い選手にしてみたら「こんなはずじゃない」という部分はあったかもしれないです。でも、プロを長く続けていたら想定外のことが発生して、思うようにいかないこともあります。そうなった時、苦境の原因を何かのせいにするのではなく、自分たちにベクトルを向けて乗り越える力を身につけることが一番重要です。今シーズンはそれがCSの短期決戦ではできましたが、レギュラーシーズン中にもできるようにならないといけない。そうなっていたらレギュラーシーズン最後の4連敗はなく、地区優勝を達成できていたと思います。 ――過去2シーズンは大きな浮き沈みもなく、コンスタントに勝ち続けていました。勝っていたからこそ、チームとしてトラブルへの免疫がなかったと感じますか。 あると思います。負けないとわからない、負けないと出てこない課題はたくさんあります。勝っていればいろいろなモノがスムーズに回っていきますが、負けた時こそその人の素の部分が出てきて、どういう人間なのかということもわかってきます。そういった苦しい時を乗り換えるのに一番重要なのは正しいカルチャーです。キングスがどんなことがあっても最終的にやるべきことをやり続けることができるのは、このカルチャーを継承し、積み上げてきているからこそ。そこは、これからも大事にしていきたいです。 ――ロー選手の獲得の背景に、勝ち続けるためには現状維持はないという確固たる方針がありました。それを踏まえ、新たな刺激として期待していることを教えてください。 そのあたりで期待している1人が脇真大で、彼が台頭してくるシーズンにしたいです。また、残留した若手選手がしっかりとゲームを作れるようになることで、西地区の優勝に返り咲くチャンスが生まれてくると思います。ただ、西地区は優勝した広島(ドラゴンフライズ)さんがいますし、より混戦になっていくと見ています。その中で勝ち切るには、いかに毎試合チームが一つになって戦えるかが最も重要です。
バスケット・カウント編集部