琉球ゴールデンキングスの桶谷大HCが語る、常勝チームの作り方(前編)「苦しい時を乗り換えるのに一番重要なのは正しいカルチャー」
2023-24シーズン、琉球ゴールデンキングスはあと1勝で連覇を逃したが、3年連続ファイナル進出の偉業を成し遂げた。桶谷大ヘッドコーチは2021-22シーズンに9年ぶりとなる琉球復帰を果たすと、名実ともにリーグ屈指の常勝チームへと押し上げた。新シーズンもチームを率いる指揮官に、今シーズンの振り返りと自身のコーチ哲学について聞いた。
「結局は生産性の高いチームが勝つと思います」
――シーズンを振り返ると(ジャック)クーリー選手のインジュアリーリスト入りから始まり、外国籍選手が当初の意図した布陣でなかなか戦うことはできなかったです。アジア/帰化枠もシーズン途中に(カール)タマヨ選手から(アレックス)カーク選手へと変わりました。同じメンバーで連携を高める時間が少なかった難しさはありましたか。 去年のオフェンスの起点を継続していこうというイメージがある中、ヴィック・ローが来ました。彼は千葉ジェッツでメインプレーヤーを担っていて、(キングスでも)自分の役割は同じというところはすごくあったと思います。アレックスもアルバルク東京で活躍していて、キングスのバスケにフィットするのは時間がかかりました。それぞれがいろいろな思いを持っている中でチームとしてハマっていくのに時間がかかり、予想以上に難しかったです。みんながエゴを出していっては収拾がつかない。そういう意味ではチャンピオンシップに入ってからはみんながエゴの部分を取り除いて、チームが勝つために我慢強く、失敗を受け入れながらプレーできたと思います。 ――シーズン途中からカーク選手が帰化枠としてローテーションに加わりました。だからこその難しさはありましたか? アレックスが帰化選手としてプレーしたのは1月31日の佐賀(バルーナーズ)戦からですが、そこから故障もあって思うようにチーム練習に加わることができなかったです。それでコンディションを上げるのに時間がかかってしまいました。帰化枠としてフィットするのにも時間はかかりましたし、何なら帰化枠と外国籍2人を同時起用するラインアップでアドバンテージを取れていなかったと思います。新シーズンはそこでもう少し優位に立ちたいですし、他のチームが帰化選手を使ってくる時の対抗策をしっかりと持っておきたいです。 新シーズンは、日本人選手としてアレックスを起用できる強みをしっかり生かさないといけないです。ただ、大事なのは帰化選手がいる、いないではなく生産性です。どれだけ良い選手たちが出ていても、バスケットボールは5対5の競技なので、出ている5人で、チームとしていかに高い生産性を発揮できるかというところにかかっています。去年のCSでは結局、帰化選手をほとんど起用せずに優勝しましたし、その前年の宇都宮(ブレックス)さんも同じです。結局は、(帰化選手の有無は関係なく)生産性の高いチームが勝つと思います。