ペットも相続対象だが…もし“相続放棄”されたらどうなる?愛犬や愛猫は「課税対象」になるのか【ペット相続の専門家が解説】
ペットの引き渡しのために被相続人が生前にしておくべきこと
一昔前までは、三世代同居という家族構成は当たり前でした。このような家族構成であるならば、ペット達の行く末をそこまで心配することはなかったでしょう。しかし、現在の日本社会は核家族化が進んでおり、飼主が他界後に遺されたペット達の行く末までも考えなくてはいけない状況になっています。それでは、どのような準備をしていたら、安心してペット達と生活ができるのか説明していきます。 まずは相続人達(子供達)に相談しましょう! 相続対策で一番大事なことは、相続人達(子供達)とちゃんと話し合うということです。子供達が遺されたペット達をちゃんと面倒を見てくれるのであれば、安心してペット達と生活できるかもしれませんが、子供達にも様々な事情があり、引き取れない場合があります。このような時には様々な対策を講じる必要が出てきます。 それではどんな準備をすればいいでしょうか? 家族同然に生活してきたペット達の行く末を考える際には、以下の項目を明確にしないといけません。それぞれチェックしてみましょう。 (1)誰が(どこが)面倒を看てくれるのか? (2)どこで、面倒を看てくれるのか? (飼育環境) (3)終末期医療のための入院や介護施設に入居した際の受け入れ先 (4)飼主他界後のペット達の飼育費 (5)ペット達の死後の整理(ペット火葬や供養など) (1)から(5)の項目を全て明確にイメージすることはできたでしょうか? イメージはできたけど、具体的にどのようにしたら良いのか分からないという方が大半だと思います。実は、それを解決してくれる仕組みが「信託」を活用した仕組みです。 約10年程前から、民事信託を活用した「ペットに関する信託契約」が案内されるようになりましたが、この仕組みを活用する飼主は多くありませんでした。理由は様々だと思いますが、一番の要因は飼主が準備しないといけないペット達の飼育費が高額すぎるということです。 例えば、飼主が60歳、飼っているペット(小型犬)が3歳としましょう。そしてペットの飼育費を年間20万円と想定した場合は、飼主が準備しないといけない飼育費は、「ペットの余命×年間飼育費」ということになります。仮にペットの余命が15年あるとしたら、「15年(ペットの余命)×20万円(年間飼育費)=300万円」を準備しないといけません。更に医療費や様々な手数料などを加味するともっと高額の準備金が必要になります。 理屈は理解できますが、中々この仕組みを活用しようと決断できる方は少ないと思います。そこで、もっと手軽にペットの将来を準備できる選択肢も考えられています。たとえば、飼主が生前に生命保険や遺言書を通じて、ペットの飼育費や飼育先を指定する方法があります。これにより、ペットの行く末を確保しつつ、相続後の混乱を避けることができます。 最近では、筆者が運営している「ラブポチ信託」というサービス含め、ペット専門の信託サービスや、老犬・老猫ホームなどを利用し、ペットが適切なケアを受けられる仕組みも普及し始めています。飼主が安心してペットと暮らすためには、事前に具体的な計画を立てることが重要です。ペットの飼育費や飼育先をどうするかを話し合い、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
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