赤ちゃんの「頭の歪み」 もしかしたら病気かも!? 受診のサインや対処法も医師が解説!
治療が必要とされる赤ちゃんの頭の変形・歪みとは?
編集部: では、早期に治療した方がいい歪みもあるのですか? 小池先生: 先天的な異常によって起こる病気の症状として頭蓋骨異常が生じ、頭の歪みが引き起こされることがあります。この場合には、脳の発達に影響を及ぼすリスクがあるため、早期診断・早期治療が必要となります。 編集部: 例えば、どのような病気がありますか? 小池先生: 「頭蓋骨縫合早期癒合症(ずがいこつほうごうそうきゆごうしょう)」が一例として挙げられます。1歳半~2歳を目安に骨のパーツの隙間が徐々に骨化してつながると先ほど説明しましたが、このいわゆる「癒合」がなんらかの原因で部分的に早く起きてしまうことがあり、これを頭蓋骨縫合早期癒合症と呼んでいます。早く癒合した骨は脳の成長に対応できず、結果的に頭蓋骨全体が歪んでしまうのです。 編集部: ほかにもありますか? 小池先生: 「水頭症」という病気もあります。水頭症は、頭の中に溜まっている髄液の循環や吸収に異常が起き、水が溜まって頭が大きくなってしまう病気です。これらの病気の場合は、早期の診断と治療が必要です。
頭の変形や歪みはどこに相談したらいい?
編集部: 子どもの頭の形が気になったら、どこに相談すればいいのでしょうか? 小池先生: 自治体での検診のタイミングが合えば、その際に相談してみるといいかもしれません。心配であれば、早めに医療機関を受診しましょう。小児科や脳神経外科などでも相談に乗ってくれるところがありますし、数は少ないですが「子どもの頭の形外来」といった専門の外来があるクリニックもあります。 編集部: そこではどのような診察・治療をするのですか? 小池先生: まずは、先ほど解説したような病気などはないか、専門的な治療が必要かのスクリーニングをおこないます。問診や視診、必要に応じて画像診断などで詳しく調べることもあります。その結果、さらなる検査が必要な場合は、専門の医療機関を紹介するという流れです。 編集部: 病気ではない頭の変形は、どうするのでしょうか? 小池先生: 程度によっては、そのまま経過観察とする場合もあります。ただ、病気ではないとなった場合でも、放っておくと頭の形が歪んだまま成長し、見た目のコンプレックスになったり、生活に必要なメガネや安全のためのヘルメットが上手く装着できずに困ったり、姿勢や噛み合わせなどに影響が出てきたりする可能性もあります。保険適用外にはなりますが、ヘルメットによる治療を検討する場合もあります。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 小池先生: 頭の骨は、とても大事な部分であるにもかかわらず、頭の形を相談できる医療機関は非常に少ないというのが日本の現状です。検診で相談しただけでは、専門医につながらず、「経過観察」となったまま悪化してしまうケースもあるようです。心配であれば病気かないかの確認だけでも、専門機関を受診してみてはいかがでしょうか。