2日に打ち上げの気象衛星「ひまわり9号」どんな役割を担うの?
気象衛星「ひまわり9号」を載せたH2Aロケット31号機が2日午後3時20分に鹿児島・種子島宇宙センターから打ち上げられます。ひまわり9号とはどんな役割を担う衛星なのでしょうか。 【動画】「ひまわり9号」11月2日打ち上げ 午後2時40分からライブ配信
8号と9号で2028年まで運用する計画
テレビニュースの天気予報では、よくアナウンサーが「ひまわりからの画像を見てみましょう」と話すのを耳にします。こうした日々の天気予報には、気象衛星ひまわりから送られてくるデータが欠かせません。 ひまわりは、約3万6000キロ上空の静止軌道から地球を観測しています。3種類のセンサーで、(1)雲の形や明るさ(2)雲や海・陸の温度(3)大気中の水蒸気の分布を観測。こうしたデータによって、雲の厚さやてっぺんの高さが分かり、雲の種類が推定できます。1時間ごとの雲の動きを見ることで上層の風向・風速も推定できます。これらに地上の観測データを組み合わせて、天気予報が行われるのです。 日本では1977(昭和52)年から気象衛星の運用が始まりました。ひまわり9号は、この気象衛星の一つですが、先に打ち上げられ、2015年7月から運用されているひまわり8号の「バックアップ機」の位置付けになります。具体的には、8号がメンテナンスに入る際や故障などがあった場合に、メイン機として同じように観測を行います。 8号と9号は2機セットで2028(平成40)年ごろまで運用する計画が立てられています。9号はずっとバックアップ機であるわけではなく、2022(平成34)年からは、9号が8号と入れ替わってメインに入る予定です。
台風の予報ができなくなる?
ひまわりにはなぜバックアップ機が必要なのでしょうか。気象庁によると、ひまわりがなくなって一番影響が出るのは「台風の予報」だといいます。 気象衛星は東アジアや西太平洋をカバーし、地上からでは困難な海上の雲の分布や大気の状況を観測することができます。台風は日本のはるか南の洋上などで発生するため、地上からの観測だけでは「台風が現在どこにあるか」が分からず、日本に近づいてからでないと把握できません。そのため、台風の発生や進路などの予測が難しくなるのです。 今回のひまわり9号の打ち上げについて、気象庁では「衛星からの観測データは重要。8号と9号で安定的・持続的に観測していけるようにしていきたい」と話しています。 ■打ち上げライブ配信番組