５歳秋で達した完成の域

　２歳＝朝日杯ＦＳ、３歳＝ダービー、４歳＝有馬記念と毎年ＧⅠを制しながらも、通算成績は１５戦６勝。「いつもいつも結果を出せる馬ではなかった」（武豊）と春まではムラがあった。しかし、この秋に放牧先のノーザンファームしがらきから栗東に帰厩すると「これまでのヤンチャさがなくなり大人になっていた」と友道調教師。陣営は５歳秋を迎えての確かな本格化を感じていた。１週前追い切り、そして当日のパドックでまたがった主戦も、手綱を通して〝大人のメンタル〟を感じ取ったからこそ、大胆な待機策を断行できたといえよう。 　すでに今年いっぱいでの引退→種牡馬入りが発表されており、実戦でその走りを見られるのはジャパンカップと有馬記念の２戦のみ。「引退後を考えると２０００メートルのＧⅠを勝ちたかった」（友道師）と今回の勝利で種牡馬としての価値は爆上がりだが、秋中距離ＧⅠ完全制覇ならば２億円のボーナス支給に加えて、その評価はさらに跳ね上がる。 　まずはジャパンＣ（１１月２４日＝東京芝２４００メートル）で強力外国馬を撃破することが最初の関門。タフな連戦をなるが、友道師は「これまでケガひとつなく丈夫な馬」と中３週も意に介していない。一方、３８年間にわたって日本競馬を引っ張ってきた鞍上も「ディープインパクトの最後の世代となるオーギュストロダン（アイルランドのＧⅠ６勝馬）は、実際に見ましたが本当に素晴らしい馬。一緒にレースをするのが楽しみですし、お互い力を出し切っていいレースをしたい」と日本の総大将としてベストのパフォーマンスを約束した。有馬記念での大団円の前に、まずは〝世界のドウデュース〟へと上り詰める。