女子テニス元1位のケルバーが現役生活にピリオド。“最後の舞台”に選んだパリ五輪は準々決勝で敗退<SMASH>
テニス四大大会のうち、全豪オープン、ウインブルドン、そして全米オープンの3大会で優勝しているドイツ女子テニス界の名手で元世界1位のアンジェリーク・ケルバー(現212位/36歳)が、その現役生活にピリオドを打った。 【画像】現役を終えたケルバーを労うITFやWTAの公式コメント 現在開催中のパリ五輪を自身の「ゴールライン」にすることを表明していたケルバー。今大会前には「私はパリ2024を決して忘れないだろうと断言できます。なぜなら、これがテニス選手としての私の最後のプロトーナメントになるからです。そして、これは正しい決断かもしれませんが、決してそうは感じません。なぜなら、私は心からこのスポーツを愛しており、それが私に与えてくれた思い出と機会に感謝しているからです」とSNSを通じて思いを綴っていた。 そのファイナルステージのパリ五輪では、初戦で大坂なおみ(同100位)との元女王対決を制すると、2回戦ではジャケリネ・クリスティアン(ルーマニア/同57位)、3回戦では2021年全米準優勝のレイラ・フェルナンデス(カナダ/同25位)を下し8強入りを決めた。 そして現地7月31日に行なわれた準々決勝ではジェン・チンウェン(中国/同7位)と対戦。ケルバーは第1セットをタイブレークの末に7-6(4)で先取するが、第2セットは4-6で失いセットカウントはイーブン。勝負のファイナルセットもタイブレークにもつれ込む大接戦となったが、勝負どころでわずかに力及ばず6-7(6)で落として万事休した。 ケルバーは同郷のラウラ・シグムンド(同93位/ダブルス同5位)と組んで女子ダブルスにもエントリーしていたが、同30日に実施された初戦ですでに敗退。そのためジェン・チンウェンとの準々決勝が彼女にとっての現役最後の試合となった。 2022年のウインブルドンを最後にツアーから離れ、翌23年2月に娘リアナちゃんを出産。同年12月に開催された「ユナイテッド・カップ」(男女混合の国別対抗戦)で約1年半ぶりに戦線復帰を果たすと、年が明けた今年1月の全豪オープンをはじめパリ五輪まで10大会に出場していたケルバー。 5月の全仏オープンを含む4大会はいずれも苦戦を強いられ、かつてトロフィーを掲げたこともあるウインブルドンもストレートで初戦敗退を喫していた。だが、背水の陣で臨んだパリ五輪では不安を払拭する戦いを披露して堂々の8強入り。元女王が最後のステージで存在感を放った。 ケルバーの試合が終わるとテニス界は早速反応。ITF(国際テニス連盟)は公式SNSを通じて「ありがとう、アンジー」のメッセージとともにケルバーがガッツポーズをする画像を公開。またWTA(女子テニス連盟)は「伝説のキャリアに幕。WTAツアーでの21年間の思い出をありがとう」とメッセージを発信した。 そしてパリ五輪に参戦しているドイツ選手団からは「親愛なるアンジー、最後の試合は素晴らしかった。私たちは3時間、あなたと一緒に応援し、苦しみ、泣きました。ここパリだけでなく、いつもありがとう。なんて素晴らしいテニスキャリアなんだろう」とケルバーを称えた。 構成●スマッシュ編集部