【解説】日銀“現状維持”で円下落 “物価上昇率に大きな影響なし”? 「円安」によるデメリットとは 日本経済に警鐘も…
■家計の負担10万円増? “賃上げ効果なくなる”…懸念の声も
鈴江キャスター 「そして、2つめのギモンは、『家計の負担10万円増?』ということで、家計全体にも、10万円も負担が増えている、ということなんでしょうか?」 経済部・日銀担当キャップ 渡邊翔記者 「そうなんです。シンクタンクが少し前に、『(当時の水準である)1ドル=154円の水準が続き、(これに)加えて、上昇が続いている原油価格もいまの状態が続く』と仮定して推計しました。 これは2人以上の世帯の全体平均で、前の年に比べて今年度は、食費で言うと4万3000円、エネルギー費が3万8000円ほど増え、総額10万8000円あまり増えると推計しています」(※みずほリサーチ&テクノロジーズによる)
経済部・日銀担当キャップ 渡邊翔記者 「経済団体のトップからは26日、好調な賃上げの効果がなくなることへの懸念の声も出ています」 経済同友会 新浪代表幹事 「一番重要なのは、実質賃金がいかになっていくか、と。6月あたりは、すごくいいタイミングになってくるのでは、つまり実質賃金がプラスになってくる可能性がすごくあるなと、こういう期待があったんですが、この円安によってクエスチョンマークがついてきた」 鈴江キャスター 「『クエスチョンマークがついてきた』ということで、賃上げがあったとしても、円安や物価高で生活は苦しい状態が続く懸念があるということなんですね」
■日本経済に恩恵なし? 業績好調も利益の“半分”は海外へ… 日本の将来に“警鐘”
鈴江キャスター 「3つめのギモンは『日本経済に恩恵なし?』ですが、これはどういうことなんでしょうか?」 経済部・日銀担当キャップ 渡邊翔記者 「実はいま、円安が進んでいることによって、大企業の業績が良くなっています。ただ、その利益が日本国内への投資に返ってこない、という問題が起きているんです。 まず、円安になると円の価値が下がっていくので、海外から見れば、日本の製品は安くなります。なので、製品を輸出する企業や、世界に販売網を持っている大企業にとってはプラスです。実際、海外展開している企業の決算などの業績は、非常に好調です。 ただ、問題は、海外で日本企業が得た利益のうち“半分”が、また海外の事業に投資したり、または海外拠点にとどめおかれたままで、日本国内に戻ってくる利益は半分ほどしかないということなんです」(※財務省による)