世界がワリエワ”ドーピング裁定”に注目…論点は16歳以下選手の保護か、五輪の品位か…振付師が「手を出していない」と潔白主張も
また英ガーディアン紙は、ワリエワの振付師であるアレクセイ・ジェレズニャコフ氏が自身のインスタグラムで発信したコメントに注目し、「ジェレズニャコフ氏は、『昨年のクリスマスの日に、なぜ彼女(ワリエワ)が(ドーピングの禁止薬物)陽性のサンプルを提出することになったのか』と尋ねられたとき、スケーター(ワリエワ)の誠実さを強く擁護した」と報じた。 ジェレズニャコフ氏は、「私は神ではないのでまったくわからない」と答えた後「たくさんの選択肢があるが、1つだけ確かなことは、彼女の才能を考えるとカミラは必要がないものには手を出していない」と、ワリエワの潔白を訴えた。 検出された禁止薬物の「トリメタジジン」は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の治療に使われる物質でアスリートが使った場合には持久力アップなどに効果があるとされている。 ワリエワの振付師は、4回転ジャンプを操り、高いスケーティング技術と表現力を持つワリエワにとって「ドーピングの力を借りる必要などない」という主張をした。 裁定を前に「ワリエワのドーピングに対する判断は世界に波紋を広げることになるだろう」と報じたのは英インディペンデント紙だ。 ジェームス・トニー記者は、「ドーピング違反にロシアが含まれるのは、よくあることだ」とした上で、「今回はワリエワが15歳という年齢であることから、アスリートの保護と救済が初めて問題になるのではないか」と指摘した。 これまでドーピング違反で罰せられたアスリートのうち最年少は、1972年のミュンヘン大会に出場したアメリカの水泳選手リック・デモントで16歳だったという。 同記者は、「今後、フィギュアスケーターの五輪出場年齢が、17歳に引き上げられる可能性があるのではないか」と予測。 「関係者は、ワリエワのケースによって、ISUは競技者の五輪出場資格の最低年齢を17歳に引き上げる決定を下す可能性があると言っている。エテリ・トゥトベリゼ・コーチは、4年前の平昌大会で、同じく15歳のアリーナ・ザギトワを指導して女子の金メダルを獲得している」とした。 世界アンチ・ドーピング機構の規定では、16歳未満の選手は「保護対象」とされ、一般的な開示義務は求められておらず、本人に責任がない場合は制裁についても最も軽いものでけん責程度に抑えられるなどの柔軟な対応がとられる。そうであれば、15歳のワリエワの保護と救済が考慮され、15日からの女子シングルへの出場が認められ、さらに16歳未満の選手を保護する責任のあったエテリ・コーチなど周辺関係者に対しても制裁が下される可能性がある。 CASの裁定結果が出るのは本日午後。世界がワリエワのドーピング問題の決着の仕方に注目している。