ミニLEDがもたらす“究極の没入感” BenQの31.5型ゲーミングモニター『EX321UX』発表会レポート
5月15日、BenQ Japanは東京・高田馬場のeスポーツ施設「ASH WINDER Esports ARENA 高田馬場店」にて、「MOBIUZ」ゲーミングモニター『EX321UX』の発表会&体験会を開催した。 【写真】「MOBIUZ」ゲーミングモニター『EX321UX』の発表会&体験会の様子 本製品は、BenQのゲーミングモニターブランド「MOBIUZ」シリーズの新たなフラッグシップモデル。同社として初のミニLEDバックライトを採用したことから、従来のモニターに比べ輝度やコントラストのよりきめ細かな調整を可能とした“ゲームにおける究極の鮮明さを追求した”モニターだ。 この日の発表会では、コメンテーターにVTuberの猫麦とろろを迎え、MCを務めるeスポーツキャスター・yukishiroによる進行のもと、詳しい製品紹介や、価格、発売日などの気になる情報がつぎつぎとアナウンスされていった。 はじめに、BenQ Japan執行役員副社長の洞口寛氏が登壇し、2020年に誕生した「MOBIUZ」シリーズのコンセプトとこれまでの歩みを紹介。 「ZOWIE」、「MOBIUZ」というふたつのゲーミングブランドを擁するBenQだが、「ZOWIE」がプロeスポーツ選手のような“ゲームの勝敗にこだわりたい人”に向けた製品群であるのに対し、「MOBIUZ」はエンターテインメント向け製品として“没入感のあるゲーム体験を楽しみたい人”に向けて展開されており、多くのユーザーから支持を集めていると同氏は語る。 続いては、BenQ Japanの製品担当・吉峰瑠奈氏による『EX321UX』の製品プレゼンに移ろうかというタイミングで、この度「MOBIUZ」が個人VTuber・猫麦とろろへのスポンサードを開始したことが発表された。 今回、コメンテーターを務めた猫麦とろろ、MCのyukishiroの両名はひと足先に『EX321UX』の提供を受け、自宅で愛用中とのこと。ふたりのユーザー目線での使用感も交えながら、製品紹介コーナーが進行していった。 次期フラッグシップモデルのリリースに際し、製品コンセプトのリニューアルを行った「MOBIUZ」シリーズ。『EX321UX』では未来的な宇宙船をイメージした筐体デザインを採用。マットな質感の白を基調としたカラーリングや、気品漂う流線型のフォルムは、今後の「MOBIUZ」製品にも受け継がれていくとみられる。 そんな本製品の最大の見どころは、ミニLEDバックライトが生み出す“深い黒の色”と、明るさとのコントラスト。そこに量子ドット技術を掛け合わせることにより、高輝度、高色域、高コントラスト表現を実現した。 本製品がカバーできる色域の広さに関しては、同社ゲーミングモニターシリーズの中でも随一の値となっており、デザイナーやフォトグラファー向けに展開しているクリエイターモニターにも匹敵する性能とのこと。 引き締まった“黒”の発色や、深みのある陰影の表現力ゲームや映像作品への没入感を高めてくれることは明らかだが、一方で、「たとえば“暗闇に潜む敵”や“物陰に配置されたアイテム”などの視認性が確保できるのか?」と不安に思う読者もいるかもしれない。 だが、その点は安心してほしい。『EX321UX』には、AIによる自動コントラスト調整機能「Shadow Phage」が搭載されており、この機能を有効にするだけで、表示されている映像の輝度・色彩・コントラストを自動的に調整してくれる。 「Shadow Phage」の驚くべき点はその精度で、画面内の暗い箇所のみをスポット的に明瞭にするといった動作も可能としている。画面内に、極端に明るい箇所と暗い場所が混在するようなシーンでも、どちらか一方が白飛び・黒つぶれするような事態はまず起きないという。 さらにカラーモードに関しても、従来の「MOBIUZ」シリーズではFPSモード、RTSモードなどのゲームジャンルごとに用意されていたところを、『EX321UX』ではアートスタイルごとのカテゴリ分けへと刷新。 ゲーム向けのカラーモードは、「Sci-Fiモード」、「ファンタジーモード」、「リアリスティックモード」の3種類。近未来を舞台にしたゲームでは、金属の質感をリアルに表現する「Sci-Fiモード」。自然豊かなオープンワールドゲームでは、有機物の質感を鮮明に映し出す「ファンタジーモード」……といったように、ユーザー目線でより直感的なチョイスが可能となった。 また、従来の「MOBIUZ」シリーズと同様、コントラストを微調整できる「Light Tuner」機能、色味やトーンを調整できる「Color Vibrance」なども搭載されている。これらを前述の自動調整機能やプリセットのカラーモードと併用して、遊ぶゲームや自分の好みに合わせてカスタマイズできる点も魅力だ。 ちなみに、ふだん『Escape from Tarkov』をよくプレイしている猫麦とろろは、「Light Tuner」機能を+10程度に設定し、明るさを引き上げているそう。屋外と屋内とで明暗差が大きい傾向にある同作だが、どんなシーンでも見やすく表示してくれる『EX321UX』を気に入っているとのことだった。 パネルサイズが31.5型のモニターとして、これだけの高精細・多機能を有しながら、リフレッシュレートは144Hz、応答速度は1ms(GTG)と、一般的なゲーム用途には申し分ないスペックを備えているのはさすがといったところ。 競技性の高いタイトルをプレイしており、勝敗にシビアにこだわりたいゲーマーに向けては同社の「ZOWIE」シリーズが用意されているとして、ゲームを心から楽しみ、のめり込むために一切の妥協をしたくないというユーザーに対しては、これ以上ない選択肢になり得るのではないだろうか。 気になる『EX321UX』の発売日は5月31日、店頭想定価格は265,000円。すでに一部店舗での先行展示や先行予約販売も開始中だが、最後に本稿では、本イベントでの『EX321UX』の先行体験の模様をお届けしよう。 発表会の後に実施された体験会では、『EX321UX』を用いてPS5版の『ELDEN RING(エルデンリング)』をプレイすることができた。 ゲーム内は夕暮れ時に近い光量の太陽光が降り注いでおり、木々が密集するエリアでは日差しが遮られて薄暗い雰囲気になっていたが、木立の影に潜む敵や野生動物の視認性は抜群。これも「Shadow Phage」が成せるワザだろう。 手近な閉暗所に足を踏み入れて「Shadow Phage」のオン・オフを切り替えてみると、有効時には石造りの階段のエッジなどが明るく鮮明に表示されるようになり、これならば暗所で目を凝らしながらプレイするようなストレスとも無縁だろうなと感じた。 筆者は24.5型のゲーミングモニターを常用しているため、31.5型の『EX321UX』の画面を端まで視界に収めるためには、ふだんよりもモニターとの間隔を取る必要があるのではないか……と考えつつ席についたが、気付けばいつもより前のめりに、モニターを食い入るように見つめる自分がいた。 それほどまでに『EX321UX』が描き出す映像は美しく高精細であり、このパネルサイズがもたらす没入感は圧倒的だった。 たとえば画面端のレーダーを関節視野で逐一確認する必要があるようなタイトルだとまた印象も違うかもしれないが、少なくとも『エルデンリング』をプレイするぶんには画面端のUIにも確実に目が届き、視界を包み込むような臨場感に「実は湾曲モニターなのでは?」と錯覚してしまったほどだ。 また、設定操作を手元で完結できるリモコンの存在や、筐体背面の各種接続端子が正面を向いており、ケーブルを接続する際に下から覗き込んで接続口を探る必要がないなど、各所のユーザーフレンドリーな仕様もありがたい。 ゲームを楽しむという観点において、ゲームグラフィックの魅力を最大限に引き出し、一切のストレスを排除し得る性能を持つ『EX321UX』の登場は非常に心強い。興味を持った方は、ぜひ予約購入を検討してみてはいかがだろうか。
山本雄太郎