「福島12市町村」が舞台の豪華キャストによる異色ドラマ『風のふく島』。制作の裏側を青野Pが語る
豪華キャスト陣のスケジュールリングはまるでパズル
――大友康平さんや黒木華さん、佐藤大樹さん、渋川清彦さん、駿河太郎さんなどのキャスト陣に加え、監督陣も豪華で、1話完結のオムニバスというのは贅沢ですね。スケジューリングもかなり大変だったのでは。 青野P:甘く見ていました(笑)。撮影自体は1話ごとにあっという間なんですが、12市町村分なので、私たちスタッフは10月下旬にクランクインして12月頭までずっと12市町村を転々と巡りつつ、キャストと監督をお迎えして送り出してみたいなことを繰り返しながら撮影していたんです。最初は期間を分けて撮影する案もあったのですが、まとめて撮影したほうが効率いいだろうということで、ギリギリまでパズルをしながら組んだ形ですね。 ――キャスト陣への交渉はどのように進めたんでしょう。 青野P:例えば豊本さんは、マネージャーさんから「真面目なドラマです」と聞いていたそうですが、「台本を見たらめっちゃコメディで安心した」と。企画上、福島12市町村の避難区域の物語となっていますが、台本を見ていただくと、いろいろ遊んでいたり、人間を深く描いていたりすることをご理解いただけたのか、比較的スムーズに決まっていきました。
監督ごとにこだわりが全然違う
――撮影中は毎日何かしら大変なことが起こったと聞きました。 青野P:1話ごとにキャストも監督もバラバラで、監督がこだわるポイントも全然違うんですよ。例えば、住田崇さん(「架空OL日記」「殺意の道程」の演出)はCG に精通しているので、私たちスタッフは住田さんの知識についていくために必死でした。また、三木さんの回はクランクインだったので、スタッフはまず三木さんをクリアしてから次に行こうみたいな一致団結感が面白かったですね。 ――三木さんの現場はどんな感じでしたか。 青野P:三木さんは完璧に作品のイメージを固めていらっしゃるので、衣装も小道具も美術も何から何までイメージがしっかりあって、こちらの美術やロケ地の提案が三木さんのイメージにピタリとはまらないと、「違う」となる。明確なイメージをお持ちなので、ある意味やりやすいところもあるのですが、ハマるまでは大変だったと思います。 それに、セリフの一言一句が全部、三木さんの脳内で再生されているんですね。コメディって一言の間とかニュアンスで笑いになったりならなかったりするものですが、私はコメディが好きだから、そこのこだわりは見ていてすごく楽しかったです。