「福島12市町村」が舞台の豪華キャストによる異色ドラマ『風のふく島』。制作の裏側を青野Pが語る
モデルになった12人の魅力が伝わるよう、大胆に脚色
――モデルになった12人の方はどのようにピックアップされたのですか。 青野P:インタビュー記事を読んだり、移住支援センターに情報をもらって、アタックしたりしました。そうした中で、特に自分で移住を決めた方、自分の今の生き方にすごく満足し、楽しそうに暮らしている方を中心に選んだ感じです。 ――取材依頼したときの反応はウェルカムでしたか。 青野P:インタビューを始めた頃はほとんどリモートのやりとりで、昨年夏ぐらいに台本ができてきて、ようやくお会いして台本をお見せしたんです。かなり脚色しているので、正直、どんな反応をされるかドキドキしましたが、皆さん、本当にウェルカムで「見てくれる人が楽しんでくれるのが一番なので」みたいな感じで、びっくりしました。 ――例えばどんな風に脚色されているのでしょう。 青野P:例えば第3話は、モデルとなった移住者の方が自分の人生を語るのがストーリーテラーのように上手だったので、カメラ目線で、書き割り(建物や風景が描かれた大きなパネルや板)の美術を使った演出方法で、ウェス・アンダーソンみたいに自分の物語を話していく形式にしました。 また第4話は、(東京03の)豊本(明長)さん主演で、「スマモビ」という浪江町内を行き来する乗り合いバスが登場するんですが、バスを擬人化しています。バスの声は人気声優の釘宮理恵さんです。最初から釘宮さんが絶対いいなと思っていて、あの可愛らしい声をイメージしてキャラクターを作っていきました。 第6話の北乃きいさんの回もキャンドルというテーマとモデルの方に感じた雰囲気からファンタジー色を入れて、第5話の三木聡さんの回は、まさに「三木聡」作品です(笑)。 ――青野さんご自身が取材して各話のコンセプトなどを決めていったんですね。 青野P:はい。基本的にインタビューの時に感じたモデルの方々の魅力が伝わるよう、ご本人の言葉をそのまま使ったり、考え方もご本人に沿ったりしています。モデルの方たちには場所もお借りしたりしています。第10話の大友康平さんのモデルになった双葉町の元復興副大臣の浜田(昌良)さんにはご自宅をそのまま貸してもらったり、第9話の青木柚くんのモデルの方には須賀川にあるツツジ農家のご実家を使わせてもらったり、皆さんにご協力いただいて撮影しています。ありがたいことです。