「記者クラブ」を存続させたいマスコミの呆れた思惑…「報道の自由度」世界ランキングで、日本のマスコミが報じない決定的な過ち
報告書の翻訳を改変
5月3日、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」による「報道の自由度」世界ランキング2024が発表された。日本は世界で70位に後退したと、フランスのAFP通信と朝日新聞が同日に伝えた。後日、日テレ、TBS、共同、時事と続いた。 【マンガ】外国人ドライバーが岡山県の道路で「日本やばい」と驚愕したワケ AFP通信は、世界全体のランキングの推移を書き、日本の箇所は「日本は昨年の68位から70位に順位を下げた」とだけ、さらりと伝えた(AFP通信「報道の自由度」世界的に悪化 日本は70位に後退 RSF)。 基本的にAFP通信は、新聞社やテレビ局用に送る通信社による記事なので、網羅的に世界情勢を伝えている。日本のメディアは、国境なき記者団が発表した「Japan」部分の報告書を翻訳(要約)して伝えていた。しかし、これがどうもおかしいのだ。 結論から書くと、朝日新聞を含め日本のメディアは、国境なき記者団が発表した「Japan」部分を要約として間違っている箇所もあり、メディアとして都合が悪いところはスルー、改変をしていた。日本メディアは「ランキングが主に伝われば良い」という論調で、日本での記事は「国境なき記者団」から日本メディアへの指摘を打ち消すような内容だった。 おそらくランキング好きの日本人には、日本の世界ランキング(70位)が下がったとしか頭に残らないだろう。しかし、それでは日本の報道が良くなるとは思えない。本記事では、国境なき記者団による原文を合わせて紹介していく。
まるで違う意味に
国境なき記者団による「Japan」の日本のメディアが翻訳した箇所は、原文では「前文」と「政治的背景」に分けて書かれていた。だが、朝日新聞は記事でそれらを1つの文章にしていたので、以下、朝日新聞記事の日本に関する箇所を(1)と(2)に分ける。 (1) “同NGOは日本の状況について、「伝統の重みや経済的利益、政治的圧力、男女の不平等が、反権力としてのジャーナリストの役割を頻繁に妨げている」と批判。 (2) 2012年の第2次安倍政権の発足以降にジャーナリストに対する不信感が広がったとする一方、記者クラブ制度がメディアの自己検閲や外国人ジャーナリストらの差別につながっているとした。” (報道の自由度ランキング発表 日本は順位下げ、G7最下位の70位 朝日新聞) まず、朝日新聞による(1)の部分は、国境なき記者団が発表した「Japan」の前文の要約なのだが、原文は以下のようになる。 (原文)日本は議会制民主主義国家であり、報道の自由と多元主義の原則が一般的に尊重されている。しかし、旧来の利害関係、ビジネス上の利害関係、政治的圧力、男女不平等によって、ジャーナリストたちは権力の監視役としての役割を完全に果たせないことが多い。 なぜか朝日新聞では「(1)伝統の重みや経済的利益…」で始まっているが、他の日本メディアも似たり寄ったりだった。原文での同じ箇所は、メディアとの「旧来の利害関係、ビジネス上の利害関係、…」。誤訳などミスはしかたのないことだが、まるで違う意味にしてしまっている。