「冷血!」「人でなし!」「副大統領候補の目はないな」…トランプ側近に大ブーイングが起きた“意外なワケ”
〈トランプは拘置所で“歴代の大統領初”マグショットを撮られ…その前日に起きたこと〉 から続く 「週刊文春」の町山智浩さんの人気連載『言霊USA』をまとめた最新刊『 独裁者トランプへの道 』。 トランプの返り咲き再選までの400日が詳しい現地ルポとともに詳細に報告されている。 第2次トランプ政権において「政府効率化委員」「国土安全保障長官」「厚生長官」にそれぞれ指名された、ヴィヴェク・ラマスワミー、クリスティ・ノーム、RFKジュニアは一体どんな人物か? 連載時のコラムを紹介する。 ◆ ◆ ◆
クリスティ・ノーム(52歳)が注目されている
サウスダコタ州は面積約20万平方キロ(北海道の約2.4倍)の広大な大平原に90万人しか住んでない。先住民ラコタ・スー族の土地で、有名な観光地はジョージ・ワシントン、トマス・ジェファーソン、エイブラハム・リンカーン、テディ・ローズベルト大統領の顔が彫られたラシュモア山と、火星の風景みたいな奇岩が並ぶバッドランズと……なんだっけ? その州知事クリスティ・ノーム(52歳)が注目されている。今年の大統領選挙で、ドナルド・トランプ候補の副大統領候補に選ばれるかもしれないからだ。 2019年に州知事になったノームは2020年の大統領選挙の時、ラシュモア山にトランプを招いた。そして4人の大統領の横にトランプの顔を加えたラシュモア山の模型を作ってトランプにプレゼントした。「私は彼ら以上の業績を成し遂げたからな」(何?)とトランプは上機嫌。彼女はトランプのお気に入りとなった。 以降、ノームは各地のトランプ集会で演説し、右翼テレビ局FOXニュースに毎週のように登場した。 ノームは、右翼じいちゃんたちのアイドルとして完璧だった。中西部の農家の出身で、父は貯蔵庫の事故で穀物に埋もれて死亡。政治家になったノームはカウボーイのコスプレで馬に乗って星条旗を振りかざし、トウモロコシ畑から飛び立つキジを見事なショットガンさばきで撃ち落とす。イピカイエー! これぞアメリカ! ノームは2000年代に政界に出てきた時は、こんな派手なキャラではなかった。ショートカットにサファリ・シャツの精悍なイメージだったが、トランプ・ブームに乗ってから急激にトランプ好みのセクシーでケバい感じに変身していった。髪は長くゴージャスに波打ち、まつ毛は濃く長く、唇はぽってりとポルノスターのように……整形ですね。