「プライベートゾーン」について早期教育してきた息子からの、思わぬ発言にドギマギ【ママ泌尿器科医】
体の自由がコンセプトの「ヌーディズム」との違いは?
基本セットに含まれる性器を「はずす」という息子の提案について、「いやそこは絶対にはずせないんだ」と理屈ではなく「決定事項」として押し通すこともできますが、できれば納得するまで考えてみたいと思います。 ドイツではヌーディズム(裸体主義)という考え方の元、決められた場所(公園やビーチ)において全裸で散歩や日光浴、スポーツを楽しむ人々がいます。彼らの目的は決して性的なものではなく、「体の自由」が基本的なコンセプトで、2019年時点で3万人を超える会員がいるとのこと(※1)。 ヌードを許可された区域の中では、「隠さねばならない」という意味においてのプライベートゾーンは消失します。 私はドイツが大好きで大学時代に2回行っているのですが、ビーチ(ヌーディストビーチではなく一般的なビーチ)に行った際、日本よりずっと体に対する「こうあるべき」という規範がゆるいように感じました。 さまざまな年齢、体形の人が堂々をビキニを着ていたり、女性がわき毛を生やしたままであったり。「おなかの脂肪が恥ずかしい」「ムダ毛処理不足かも」といった不安から解放され、とても過ごしやすかった記憶があります。 もちろん、ドイツでもヌード許可区域外ではプライベートゾーンのルールが適用されています。 しかし、「隠さなければいけない」という社会規範が「隠したくない(衣類を身に着けたくない)」人々の権利に対し無条件で優越するわけではなく、そのバランスの取り方を探っているところが大変興味深いですよね。 というわけで、息子には「今の日本の社会のルールでは、おまたはプライベートゾーンからはずすことはできないんだけど、そうではない国もあるんだよ。裸って気持ちがいいから、裸で過ごす権利を大切にする人たちもいておもしろいよね」と伝えてみようと思います。 文・監修/岡田百合香先生、構成/たまひよONLINE編集部 「自分の体は大切で、自分だけのものであること」を教えるプライベートゾーンと性教育。幼児期から伝えることで、性犯罪から子どもを守ることにもつながると考えられています。伝え方についての情報もたくさん出ていますが、それぞれの家庭ごとにも考えていきたいものです。 (※1)参考/ヌードとは自由である、というドイツ人が尊ぶ「自由な体の文化」 :朝日新聞GLOBE+ ) ●記事の内容は2024年6月の情報で、現在と異なる場合があります。 監修者 岡田百合香 先生 PROFILE:泌尿器科医/産業医。日本泌尿器科学会専門医。愛知県在住。総合病院の泌尿器科に勤務する傍ら、乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。現在6才男児、2才女児の子育て中。著書『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社)が発売中!
たまひよ ONLINE編集部