減額予算案に「トランプ対応資金」不足懸念=韓国
来年度の政府予算案の国会通過が結局、先延ばしになった。予算編成への支障も避けられないとみられる。禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は、共に民主党が主導して増額なく減額(-4兆1000億ウォン、約4380億円)だけを反映した来年度予算案を2日、国会本会議に上程しなかった。その代わり定期国会最終日の10日までに与野党が合意して予算案を用意するよう促した。禹議長は「多数党は多数党として、与党は与党として予算案合意のために最善の努力をすることを要請する」とし「政府も自省して態度を変えなければいけない」と述べた。 崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官はこの日に開いた合同ブリーフィングで「対外不確実性のため厳しい状況でリスクが加重している」とし「野党は今からでも単独減額案を撤回して交渉してほしい」と強調した。 禹議長の仲裁は憲政史上初の減額予算案通過という破局をしばらく先延ばしする「弥縫策」にすぎないという評価が出ている。「減額予算案を撤回しなければ増額交渉もできない」という政府・与党と、「政府が増額修正案を出せば協議する」という野党の立場が平行線をたどっているからだ。ただ、野党が減額案を「テコ」に地域貨幣(地域サラン商品券)予算(2兆ウォン)増額を貫徹するための交渉を続ける可能性がある。 2014年に国会先進化法を施行して以降、予算案処理法定期間が守まれたのは2回(2014、20年)だけだ。今年も「遅刻」編成は避けられない。国会が12月初めまでに予算案を議決してこそ政府が来年の会計年度が始まる1月1日から予算を早期執行できる。国会通過が遅れるほど脆弱階層の雇用、地域社会間接資本(SOC)などの事業推進に支障が生じる可能性が高い。政府の義務支出の半分ほどを占める地方自治体予算審議も先に延びる。内需(国内消費)不振を打開する直接手段が足かせになるということだ。 10日の「デッドライン」まで与野党の合意が不発となる場合、問題はさらに大きくなる。野党が減額予算案を本会議に上程して処理する場合、最も大きな問題は予備費(2兆4000億ウォン減額)だ。予備費は災難だけでなく非常時に使用できるよう編成した予算だ。例えば「トランプ2期目」の産業・通商分野の緊急対応にも使える。2019年に日本が輸出を規制した当時にも予備費を投入した。企画財政部は減額予算案から国家戦略技術税制支援拡大、零細業者負担軽減、内需活性化案が抜けたうえ、青年・保育・医療改革や麻薬など犯罪対応予算が減った点も憂慮している。 政府としては適当な対応手段がない。予算案は大統領の再議要求権(拒否権)対象でもない。部処内の優先順位が低い事業の予算を調整して再配分する形で対応しなければならない。予算案が12月31日まで国会を通過しない場合、準予算を編成する可能性もある。憲法54条第3項は予算を前年に準じて編成する準予算執行対象を▼国家機関の維持および運営▼法律上の支出義務履行▼すでに予算で承認した事業の継続--などと規定している。政府運営のために最小限の支出だけを許容し、裁量支出を統制するという原則だけがある。実際に準予算を執行した前例もなく、法的論争は避けられない。 減額予算案が通過する場合、来年初めの補正予算編成は避けられないという見方もある。企画財政部の関係者は「健全財政基調であるうえ定めた要件を満たさなければならず限界がある」と説明した。