【UFC】UFC4戦目に臨むクロン・グレイシー「LAの天理柔道場には10年ほど通っている」「タフな場だ。そういうところこそが、自分のスキルを試すことができる場だから、UFCで戦う」
2024年12月7日(日本時間8日)、米国ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催される『UFC 310: Pantoja vs. Asakura』(U-NEXT/UFC Fight Pass配信)のメインカードの第2試合では、ヒクソン・グレイシーの次男のクロン・グレイシー(ブラジル)がUFC4戦目に臨む。 【写真】36歳、柔術では証明すべきことはもうないクロンがMMAの最高峰で戦う意味とは? ▼フェザー級 5分3R ブライス・ミッチェル(米国)16勝2敗(UFC7勝2敗)146ポンド/66.22kg クロン・グレイシー(ブラジル)5勝2敗(UFC1勝2敗)144.5ポンド/65.54kg 対戦相手のブライス・ミッチェル(米国)はUFC7勝2敗で、レスリングベースでグラップリングで9つの一本勝ちを誇る。 コロナ禍にモンタナに引っ越し、2023年5月の前戦を落としたクロンは、いかにしてオクタゴンに戻るのか。本誌が聞いた。 ◆これまでは“銃1丁、弾丸1発”で戦っていた ──前回の試合以降、生活はどうだった? 「生活は順調だよ。どの試合でも、勝っても負けても、常に改善すべき点がある。基本的に僕の人生はずっとそうだった。だから、あれからもっと早く戦うつもりだった。でも人生が邪魔をした。だから今、ここでいいパフォーマンスを見せたいと思っている」 ──現在のあなたの地元であるモンタナでもトレーニングしてきたのですか。 「そう。モンタナでもトレーニングをして、6週間前にLAに来た」 ──マック・ダンジグらとLAでファイトキャンプを行ってきたのですよね。 「マックは長い間トレーニングパートナーで、いつも一緒にトレーニングしてる。いつもいい助けをしてくれて、一緒にやりたいって思ってるんだ。ただ、同じことをずっと続けすぎていたのもあって、モンタナの道場にも行くようになったんだ」 ──あなたの見事な背負い投げの動画を見ました。そして、LAの天理柔道で練習しているのも。高橋徳三さんの道場ですよね。 「かれこれ10年になるんだ。徳三さんは、日本の石井慧とも戦っているよね。僕は柔道のトレーニングをするのが大好きなんだ」 ──なぜ柔道を? 柔道は柔術よりもMMAから離れているように思えます。 「いやいや、とても似ているよ。僕はいまの足を掴んではいけないような競技柔道をやっているのではなく、オリジナルの柔道をやっているんだ。立ち技も寝技も、ね」 ──ところで、メディアもファンも、あなたが再びUFCで試合をすることになるとは知らなかったです。 「そうだね、かなり前から決まってはいたよ。でも、なぜ発表が遅れたのかは分からない。彼らがただ忙しかっただけで、たぶん同時にたくさんのことをやろうとしていたんだと思う。もっと早く発表があれば、もっと多くの人たちをこのプロジェクトに引き込めるのにね」 ──あなたが試合をしていなくても、まだ謎めいたオーラが漂っている、とメディアは聞いていましたね。 「僕は毎日投稿して、みんなに僕が何をしているか知らせたりしないからね。何も言うことがないから。僕は自分の人生に取り組んでいるし、いろいろなことをやっている。トレーニングをしているときは、トレーニングに集中している。もし誰かがそれを宣伝したいのなら、僕はそれを受け入れるよ。でも、僕には何が起こっているかをSNSで話すことよりも優先すべきことがあるんだ」 ──前回の試合でシャルル・ジョーデインをジャンピングガードで引き込むことができても極めることはできなかったです。そこからの課題をどうとらえて練習してきましたか。 「彼はディフェンスが上手くて、自分がパンチが上手くなかった。それで起きたことは、柔術だけを使おうとしてパンチを使おうとしなかったことが理由だ」 ──今回、対戦するスイッチヒッターのブライス・ミッチェルは、レスラーで組むことを好みます。もしあなたがスタンドで互角なら、あなたがグラップリングゲームで上回る自信もありますか。 「映像で見る限り、彼は良い技術を持っていると思う。スキルがある。常にグラウンドに持ち込もうとしているように見えるし、グラップも上手だ。それが僕が相手だとどうなるか。やってみてどういう感じかをみてみないといけない。いつも難しいんだ。というのも、これまでのところ、一般的に人々はビデオで戦うのと実際はかなり違うから。相手がどう準備してくるか分からない。僕に寝技でも向かってくるのか、それとも逃げるのか。そういったことは試合当日に分かることだし、キックボクシングになるだけの可能性もあるんだ。僕は自分にとってベストな場所で戦いたいし、それがどこであろうと、どんな試合であろうと勝ちたいんだ。それがグラウンドであろうと、キックであろうとね。決して戦いを避けようとはしていない。 前回のジョーデインとの試合は柔術界や周りの多くの人の言うことを聞こうとしたからああなった。“柔術に集中しろ、パンチを打つな”と言われたから。日本での試合も、それ以前の試合もすべてそうだった。その試合には“銃1丁、弾丸1発”、僕の銃で臨んだ。だから、今回はいいパフォーマンスをして、最高の形で戦いたいんだ」 ──ミッチェルのバックポジションからの極めをどう評価しますか。 「これは試合の中で確かめる感じかな」 ──ミッチェルはその技量とともに、ちょっとしたキャラクターとしても知られている。ケージの中で聖書を掲げて叫んだこともある。自由を叫ぶとかね。どんな感想を抱いていますか。 「少し前、ブライスが誰かに良いサブミッションをしたときに気づいたんだ。ブライスはかなり人気があった。だから、この試合はいつか実現する可能性があると思ったんだ。彼はグラップラーだし、ビッグネームだからね。ランキングに入っていようがいまいが、僕はビッグネームなんだ。彼がランキングに入っていようがいまいが、ビッグファイトであることに変わりはない。そして、僕は柔術という自分の戦いの中で、すでにキャリアを積んできた。誰も気にかけないような相手と戦う必要はない。すでに50~60戦以上戦っている相手、トップ10入りしている選手と戦った。 それが僕にとって重要だからだ。僕が大事にしているのは、僕が戦える最高の相手と戦うこと。だから彼が僕に与えられた時、僕は何も考える必要はなかった。これは素晴らしい試合でタフな戦いだ。自分のスキルを見せたい。彼はグラップラーだから。何が起こるか見てみるよ」 ──ストライカーとも戦える? 「ああ、僕は彼らを倒すことができる。僕のバックポケットにはそれがある。いつかはみんなと戦わなきゃいけないからね。だから、現時点での最大の戦いは、ストライカーであろうとグラップラーであろうと、すべての条件を満たしたいと思っているんだ。健康であれば、できるだけ長く戦いたいと思っているよ」 ──あなたはサーフィンが好きだと言っていましたね。その情熱はどのようにあなたのキャリアのバランスを保つのに役立っていますか? 「正直に言ってしばらくやっていないんだ。もちろん海に入るのは好きだ。でも、ここ数年はモンタナにいたんだ。キャンプはほとんどLAでやった。海に飛び込んだり、ボディサーフィンをしたり。でも、サーフィンとスケートボードは、僕の人生の中で、ちょっと脇に置かれていたんだ。サーフィンもスケートもよくやったけど、スケートボードをやったときに怪我をしてしまって、スケートをやめて、それからサーフィンもやめたんだ。モンタナに住んでいるから、モンタナには波がない。LAにいるときは、サーフィンに行くためにボードを手に入れ、サーフィンのために車を走らせる。波が合っているかどうかを確認するために、丸一日かかるようなものなんだ。 ボードを持ってビーチにいるような感じかな。だからトレーニングや試合のために時間を割いているわけではないんだ」 ──グレイシー一族から受け継いできた遺産が大きいのは明らかです。先祖から学んだアドバイスや哲学はありますか? 「僕の人生の基盤は、すべて父からきていると思う。父が家族から学んだことは、父から学んだことは何でも。僕の柔術の基礎、僕の精神、僕の競争心、そして僕の人生の基礎は、父から受け継いだものなんだ」 ──COVIDの頃、モンタナに引っ越してご自身のジムをオープンした。その後はいかがですか。 「オープンなジムは閉鎖したんだ。いまはプライベートな場所で20人くらいとトレーニングしている。トレーニングに集中してるんだ。ビジネスをやろうとはしていない。僕は今はアカデミーをやって柔術を教えようとはしていないんだ。僕はずっとそうしてきた。自分のキャリアとファイトを生かしたいんだ。それが今僕がいるべき場所だと思うし、ほとんどのファイターがそうだと思う。ジムを経営し、クラスを教えようとする選手がどれだけいることか。いま僕は自分のトレーニングや試合、そしてそれを助けてくれる周りの人たちのためにエネルギーを使いたいんだ。ジムを閉めたことで、それが可能になったのは間違いない」 ──グレイシーのビッグネームであるあたなが、“勝ち逃げ”を許さないUFCでまだ戦い続けていることに驚きます。すでに柔術で名を成したあなたがいまもUFCで戦う意味を教えてください。 「タフな場だ。つまり、そういうところこそが、自分のスキルを見せることができる場だから。自分のスキルを試したいと思っているからだよ」
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