5歳の先取り学習は逆効果に? シリコンバレーの幼稚園が実践する年齢別「脳の基礎体力」の育て方
6歳までは、勉強は「ほどほど」でいい
もちろん、読み書きや計算などの勉強も、子どもの世界を広げるために必要なものです。 私の幼稚園でも、15分くらいの「ラーニングテーブルタイム」を設けています。ラーニングテーブルタイムは、「学びの窓」を開く時間です。文字が書けるとお友だちや家族に手紙が書ける。文字を読めると外遊びで見つけた花や昆虫の名前を図鑑で調べられる。そういう学ぶ意欲、学ぶための好奇心を養い、子どもの世界を広げるための時間です。ただし、何歳までにこれを習得すべきというルールはありません。 ラーニングテーブルタイムは、日本の年長にあたるキンダーガーデンに行く前の準備をする時間でもあります。落ち着いて座り、先生の話を聞き、指示を理解できるようにするには、一日15分くらい、何かに集中的に取り組む時間を持つことが大切です。 また、文字を書くことで、「ファインモータースキル」を鍛えることもできます。ファインモータースキルは、鉛筆を持つ、はさみを使う、小さいものをつまむ、箸を使うなど、指先の細かい筋肉を動かすための運動能力です。このスキルを鍛えることは脳の発達にもよいとされています。 子どもが興味を示すようなら、4歳くらいからおうちでも一日に15~30分くらい、読み書きや計算をさせてもいいと思います。ただし、子どもが乗り気でないのに無理にやらせたり、一日に4時間も5時間も勉強させたり、その日のノルマを終えるために睡眠を削って深夜まで勉強させたりするのは、子どもにとってはむしろ害になります。 6歳までは「脳の基礎体力」を育てる時期です。基礎体力ができていないのに、あれもこれも覚えさせ、何時間も勉強させ、さらにその結果を出せと求めるのは無茶というものです。小さいうちから無理に勉強をさせたがために子どもが勉強嫌いになってしまったら、本末転倒です。
中内玲子