城氏が語る「完璧W杯壮行試合と久保建英の才能と課題」
2022年カタールW杯アジア2次予選前の森保ジャパンの壮行試合としては完璧な内容と言っていいだろう。パラグアイは移動距離と強行日程に加え、湿度に苦しんでいた。コンディションは決して良くはなく動きは重たかったが、それを差し引いても堅守が売りの南米の強豪チームを攻守で圧倒し2-0で勝利したことは評価できる。 大迫のワントップに2列目の中島、南野、堂安の4人の連動が素晴らしかった。成熟の段階に入ったように見えた。特に中島の自由な動きが効いていた。元々、キープ力があってドリブルの突破力にも定評があるが、周りもうまく使えるようになっていて、この日は、縦への動きだけでなく、ボールを呼び込むために下がったり逆に中へ動いたり、自在にピッチを動き回った。南野、堂安が、その動きに呼応してバランスを取りポジションチェンジを行う。中島が仕掛けると南野がこぼれてくるボールを予測してパスをつなぐ。 前半23分の大迫の先制ゴールも中島が2人のディフェンスを引き付けたところが起点。そこから堂安、長友のクロス、大迫と連動した。 さらに、その1分後には、パラグアイのダブルボランチが縦パスを警戒していたが、あえて、そこに人数をかけ前へ前へとボールを運んでカウンターを仕掛けた。スタジアムが沸いたシーンだが、通常ならば中島一人を生かして他は外へ開く局面。それを中へ中へとフォローしながらボールをつないだ。最後はキーパーと1対1になった堂安が、股抜きを狙って失敗したが、4人の連動力の高さを象徴する動きだった。 中島はFCポルトで逞しく成長した。途中、わざとリフティングをして、そういう行為を嫌う南米の選手をイラつかせた。後ろから危険なスライディングタックルの報復を受けたが、ひらりと跳んで交わしていた。褒められたプレーではないが落ち着きと余裕の証拠だ。 また彼らを操った柴崎のプレーも見逃せない。彼がいるから前線の4枚が思い切って前へいける。ゲームメーカー、バランサーとして全盛期の長谷部並みの存在感がある。パラグアイのカウンター攻撃だけが怖かったが、守備面でも、攻撃から守備の切り替えで、一番大事な場所をしっかりと抑えて“反撃の芽”を摘んでいた。 注目の久保についても触れよう。