なぜ欧州トップリーグでプレー経験のある浦和レッズ主将の酒井宏樹は無名のニュージーランドのクラブへの移籍を決断したのか?
浦和レッズは24日、キャプテンを務める元日本代表DF酒井宏樹(34)が、海外クラブへの移籍を前提とした手続きと準備のためチームを離脱すると発表した。来シーズンからオーストラリア1部リーグに新規参入するニュージーランドの新興クラブ、オークランドFCへの移籍が決定的になっている。ヨーロッパのトップリーグで計9シーズンにわたってプレーし、2021年6月に浦和へ移籍したベテランはなぜ再び海外へ、それも南半球へ挑戦するのか。 【決定的瞬間】カタール戦の延長での劇的決勝ゴール
浦和の赤いユニフォームに袖を通して4年目。昨シーズンに続いてキャプテンを務める34歳のベテラン、酒井がシーズン途中での退団を決めた。 24日に浦和が発表したリリースには、酒井の去就に関して「海外クラブへの移籍を前提とした手続きと準備のため、チームを離脱することになりました」と記されていた。続けて酒井自身のコメントも綴られている。 「2021年6月にマルセイユから浦和レッズに加入して以来今日まで、伝統ある偉大なクラブの一員として、一つでも多くのタイトルをファン・サポーターのみなさんと共に獲得したいというおもいで、1試合1試合全力で闘ってきました。(中略)こうした時期にチームを離れることは非常に難しい決断でしたが、マルセイユから浦和レッズへの移籍を決めたときと同様に、自分の新たなる目標と挑戦のためには必要な決断でした。必ずまたこの挑戦を成功させ、素晴らしいキャリアと生活を得られるよう頑張ります」 新天地は昨年11月に創設され、来たる2024-25シーズンからオーストラリア1部、Aリーグに新規参入するオークランドFCになると見られる。 酒井の移籍をめぐる動きは、今月に入って意外なところから明らかになった。 オーストラリア出身の元サッカー選手で、現在はFOXスポーツ・オーストラリアで解説者を務めるアンディ・ハーパー氏が、11日の北中米W杯アジア2次予選、オーストラリア-パレスチナの中継中に「酒井はこの夏に、オークランドFCと契約を結ぶ」とコメント。これがSNS上などで瞬く間に拡散され、日本にも伝わった。 柏レイソルの下部組織で心技体を磨いた酒井は、2009年にトップチームへ昇格。右サイドバックのレギュラーを射止めた2011シーズンからブレークし、同シーズンの柏の初優勝に貢献するとともに、日本が4位に入った2012年のロンドン五輪をへて、アルベルト・ザッケローニ監督に率いられる日本代表でも一気に台頭した。 2012-13シーズンからはドイツ・ブンデスリーガ1部のハノーファー96へ移籍。さらに2016年6月にはフランス・リーグアンの名門マルセイユの一員になった。後に「ここが僕にとって、最後のヨーロッパのクラブになると決めていた」と語った酒井は、実際に5シーズンにわたってプレーした後の2021年6月に浦和へ移籍している。 戦いの舞台を9年ぶりに日本へ移してから3年。4月には34歳になった酒井はなぜ再び海外へ、それも南半球の新興クラブへ挑戦するのか。答えはリリースで綴った「マルセイユから浦和レッズへの移籍を決めたときと同様に」にある。