独クリスマス市襲撃、死者5人に 容疑者は「反イスラム」のサウジ出身の医師
(CNN) ドイツ東部ザクセンアンハルト州マクデブルクのクリスマスマーケットに車が突入した襲撃事件の死者は5人、負傷者は200人あまりに上ったことが分かった。 【映像】独クリスマス市に車突入、容疑者を逮捕 市当局の幹部によると、死者は9歳の子ども1人と大人4人。地元の公共放送局は当初ハーゼロフ州首相の話として、死亡した子どもは幼児だと伝えていた。 ハーゼロフ氏は21日、当局者らと現場を訪問。新たな死傷者数を確認し、「ドイツでこんなことが起きるとは」と衝撃をあらわにした。 ショルツ独首相らも同日、現場近くの教会へ出向いて花を供えた。同氏は重体に陥った40人近い負傷者の容体を案じていると述べ、国民に団結を呼び掛けた。 負傷者は市内の病院に収容しきれず、一部の患者は近隣の街へ空路搬送された。 当局の発表によると、逮捕された容疑者はドイツ永住権を持つサウジアラビア出身の男(50)。2006年からドイツに住み、マクデブルクの南約40キロの町で医師をしていた。単独の犯行とみられる。 本人の写真をロイター通信に提供した米団体によると、反イスラムの立場からサウジ人女性らの国外逃亡を支援してきた人物とされる。 容疑者がX(旧ツイッター)に投稿したとみられる削除済みのコメントには、反イスラム発言やサウジ「反体制派」を自称する文言が含まれていた。イスラム教から改宗したと公言し、ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を表明していた。 州検察の責任者は、動機特定には時間が必要だとする一方、容疑者がドイツによるサウジ難民への処遇に不満を持っていた可能性を指摘。殺人5件、同未遂205件の罪で起訴される可能性があると述べた。 事情に詳しい関係者2人がCNNに語ったところによると、サウジ当局は同容疑者をめぐり、過去数回にわたってドイツ当局への警告を発していた。 最初は07年、同容疑者がさまざまな過激思想を表明しているとの警告があった。 サウジは同容疑者を逃亡者と見なし、07年から08年にかけて送還を求めたが、ドイツ側は帰国後の本人の安全への懸念を理由に拒否していた。 サウジからドイツの情報機関と外務省に計4回通知が送られ、すべて無視されていたとの情報もある。 ドイツのフェーザー内相は21日、容疑者について「イスラモフォビア(イスラム嫌悪)」の人物だと述べたが、捜査は初期段階だとして詳細には言及しなかった。