生まれ変わった警報は「本当にやばい時のシグナル」、豪雨災害から身を守る
6~10月は多くの地域で出水期と呼ばれ、集中豪雨や台風などによる洪水や土砂災害が起きやすい時期だ。福岡県朝倉市などで42人の死者・行方不明者を出した2017年7月の「九州北部豪雨」、岩手県岩泉町の高齢者グループホームの入所者9人全員が死亡した2016年8月の「台風10号豪雨災害」など、中小河川であっても多くの命を奪うような洪水もたびたび発生している。 このような豪雨災害から身を守るうえで役立つのが気象庁が発表する各種の情報だ。しかし、ホームページを見てもいまいちどこに必要な情報があるのか分かりづらい。そこで、気象庁・気象防災情報調整室の高木康伸調査官に、洪水などに関する情報の見方や適切な行動について聞いた。
警報発表の仕組みを抜本的に改善
── 昨年から大雨洪水警報が生まれ変わったと聞きました。 高木調査官 実は、以前は大雨警報や洪水警報が出ても、実際には重大な災害までには至らない、いわゆる「空振り」のイメージを持たれがちでした。しかし、それでは「警報」の効果が半減してしまうため、警報発表の仕組みを2017年7月に抜本的に改善しました。従来は雨量そのもので警報を発表するかどうかを判断していましたが、これを都市化率や地質のデータも駆使して、雨水が地表面や地中を通って川に集まるといったプロセスも計算して判断するように改善しました。これによって警報と実際の災害の発生との結びつきが非常に強くなりました。今、警報は「本当にやばい時のシグナル」になったと考えてください。 ── 地図上でどこが危ないかを見ることもできるようになったそうですね。 高木調査官 キーワードは「大雨・洪水警報の危険度分布」です。気象庁ホームページのトップページに「この雨大丈夫?そんな時 危険度分布」と書かれたバナーがあります。これをクリックすると、生まれ変わった洪水警報を「見える化」した「洪水警報の危険度分布」のページに飛ぶことができます。拡大していくと、国内の人々の生活圏にある約20000の河川の全てを表示することができ、この川の色が危険度に応じて変わります。通常は水色ですが、危険度が高まっていくと、黄(注意)→赤(警戒)→うす紫(非常に危険)→濃い紫(極めて危険)の順に川の色が変化していくのです。