旧NISA、どうするべき?非課税期間終了で「売却→新NISA」か「課税口座」で運用か…
課税口座で運用する場合の注意点
旧NISAで投資した商品の非課税期間が終了する場合、そのまま課税口座で運用することも考えられます。 非課税期間の終了タイミングで売却しなければ、自動で課税口座に移される仕組みです。課税口座で運用する場合、課税口座へ移管時の評価額が取得価格となることを覚えておきましょう。 たとえば、2023年に一般NISAで120万円で購入した国内株式が、2027年末で非課税期間が終了する際に評価額が150万円の場合、課税口座での取得価格は150万円です。仮にそのあと値上がりして180万円になったタイミングで売却すると、利益30万円に対して約20%である約6万円の税金がかかります。 また、一般NISAで120万円で購入した国内株式が、2027年末で非課税期間が終了する際に評価額が100万円の場合、課税口座での取得価格は100万円です。仮にそのあと値上がりして一般NISAで購入時の価格である120万円に戻ったとしても、利益20万円に対して約20%である約4万円の税金がかかります。 結果として、一般NISA口座で投資をしたことで、課税口座であれば発生しないはずの税金4万円の支払いが必要です課税口座で運用する場合は、上記のようなリスクがあることを理解しておいてください。
すぐに売却して新NISA口座で運用することも考えよう
これまで旧NISAの非課税期間終了後に売却して新NISA口座で同じ銘柄を購入するか、課税口座で運用するかを紹介しました。 ただし、かならずしも旧NISAの非課税期間終了を待つ必要はありません。いま旧NISAの商品を売却して新NISA口座で同じ商品を購入する選択肢もあります。 どの選択肢がもっとも良いかは、その時点の評価額や新NISAの残りの投資枠などにより異なりますが、様々な選択肢から自分に合った方法を見つけてみてください。
NISAを始めていない人はすぐに運用を始めよう
これまで旧NISAで購入した商品の対応について紹介してきましたが、そもそもNISAをまだ始めていない人もいるかもしれません。 老後資金を確保したい人は、できるだけ早くNISAで資産形成を始めることを検討してみましょう。 月3万円の積立投資でも、運用利回り次第では比較的短期間で1000万円を用意できる期待があります。運用利回り別に見た、月3万円の積立投資で1000万円を用意するために必要な積立期間は以下のとおりです。 ●月3万円の積立投資で1000万円を増やすために必要な期間 運用利回り 期間 ・年率1% 24年7か月 ・年率2% 22年2か月 ・年率3% 20年3か月 ・年率4% 18年9か月 ・年率5% 17年6か月 ・年率6% 16年5か月 ・年率7% 15年6か月 シミュレーションによると、年率5%で運用する場合、17年6か月で1000万円を用意できるという結果に。 なお、日本の年金を運用するGPIFは国内外の債券や株式に分散投資していますが、過去23年間の平均運用利回りは年率4.33%です。 そのため、年率5%での運用は、決して難しい数字ではないでしょう。
参考資料
・金融庁「NISAを知る」 ・金融庁「2023年までのNISA」 ・金融庁「つみたてシミュレーター」 ・GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)「年金積立金の運用目標」
苛原 寛