小学校入学3週間で不登校になった息子。“繊細さん”な彼に届いたのは「怖かったよね」「よくがんばったね」と気持ちに寄り添う言葉だった
“ちゃんとやらせよう”という大人の意識が子どもを萎縮させる
不安だらけの日々に一筋の光をさしたのは、臨床心理士であるP先生との出会いです。P先生は元教師で、スクールカウンセラーなどもしている50代くらいの女性。不登校支援のNPO代表です。 P先生は、開口一番「先生がしっかりし過ぎていませんか?」と、沢木さんに言いました。いわく、しつけが厳しい先生のもとで不登校は生まれやすいとのこと。思い起こすと、学校で見かけた担任の先生の指導はかなり厳しく、人前でクラスの子どもたちを面罵する一面もあったとか。 次にP先生から聞かれたのが、「親がしっかりし過ぎていませんか?」。親が子どものしつけにきびし過ぎる場合も、子どもが追い詰められがちなんだそう。沢木さん夫婦の場合、しつけにきびしいというよりも、登校を促す中で「ちゃんとしなさい」「早くしなさい」「なんで行かないの?」などと、命令したり、せきたてたり、詰問したりするかたちになりがち。学校という新環境に不安を抱くむすこさんを追い詰めていました。 ⚫︎子どもが“実際なにを感じているか”に寄り添うのが重要 P先生はむすこさんに「怖かったよね」「よくがんばったね」などと声をかけ、一緒に遊びます。すると、わずか30分ほどで、いつもは人見知りなむすこさんが饒舌にしゃべりはじめたそうです。 これを機に、沢木さんは子どもとの信頼関係のつくり方を反省。たとえ子どもの口をつくのがネガティブな感情であっても、“実際なにを感じているか”に寄り添うのが重要であること。学校が不安なら、まずは「不安だよね」と気持ちを受け止めてあげればよかったこと。そして、一緒に遊ぶことで子どもは安心して心を開くこと。 目の前の子どもに寄り添うという、当たり前のようで忘れがちなことを、沢木さんは再認識。“ちゃんとやらせよう”という大人の意識が子どもを萎縮させている、と気がついたのです。 ぐさり!ときたのは、筆者だけではないはず。大人の都合や、よかれと思って、子どもの気持ちを度外視した言葉をかけているかもしれない……。