【追悼】東京地検特捜部元検事・堀田力弁護士が語った「ロッキード事件」捜査秘話 「捜査はどこまでいくのか、いつやるのか」田中元総理逮捕の1か月前に掛かってきた電話の主は… 平成事件史(21)
総理大臣経験者が贈収賄で逮捕されるという前代未聞の事態は、日本中を激震させた。 運輸族の有力議員だった橋本登美三郎元運輸大臣、佐藤孝行元運輸政務次官も全日空からの金銭授受を理由に受託収賄罪で起訴されたほか、田中元総理の“刎頚の友”小佐野賢治・国際グループ創業者も偽証罪で起訴された。 ロッキード事件では被告16人、取り調べを受けた関係者は400人を超えた。 その後、田中元総理は一審、二審で「懲役4年、追徴金5億円」の実刑判決を受けるが、上告中の1993年12月に死去した。最高裁は1995年2月、共犯とされた榎本秘書の有罪判決の確定をもって、田中元総理が「5億円」を受け取った事実を認定した。 さて、田中元総理逮捕から4か月後の1976年10月4日。季節は、夏から秋へと静かに移り変わっていた。 この日、TBSニュースは、東京地検特捜部の堀田検事と東条検事が、パンアメリカン航空機で帰国したことを伝えた。 2人は田中元総理逮捕後もロスに残り、引き続きコーチャン副会長やクラッター日本支社長の追加尋問を行っていたのである。 羽田空港に降り立った堀田の表情は、固く引き締まっていた。 待ち受けていたのは、その後、16年という長期にわたるロッキード裁判だった。 (つづく) TBSテレビ情報制作局兼報道局 「THE TIME,」プロデューサー 岩花 光 参考文献 堀田 力「壁を破って進め 私記ロッキード事件(上下)講談社、1999年 奥山俊宏「秘密解除 ロッキード事件」岩波書店、2016年 坂上 遼「ロッキード秘録 吉永祐介と四十七人の特捜検事たち」講談社、2007年 山本祐司 「特捜検察物語」(上下)講談社、1998年 NHK「未解決事件」取材班「消えた21億円を追え」朝日新聞出版、2018年
TBS NEWS DIG Powered by JNN
【関連記事】
- 【追悼】東京地検特捜部元検事・堀田力弁護士が語った「ロッキード事件」捜査秘話 「派手な上着にカメラを下げ、サングラスで観光客を装った」田中角栄元総理大臣の逮捕を切り開いた極秘渡米 平成事件史(20)
- 「そんなことまで頼んでない」闇に葬られた山一証券もう一つの「報告書」 朝日新聞の記事で「情報リーク」を疑われた“マチベン”弁護士が真相を語るー平成事件史(19)戦後最大の経営破たん【インタビュー】
- 「大蔵省の責任を書かないという選択肢はなかった」山一証券社長は大蔵省から含み損の「飛ばし」を示唆された…“ミンボー専門”の42歳の弁護士が「調査報告書」に込めた思いとはー平成事件史(18)戦後最大の経営破たん
- 「山一証券破たんの調査をやってくれませんか」なぜ“ミンボー専門”のマチベンだった42歳の弁護士が、前例のない調査を引き受けたのか 今だから明かせる「報告書」をめぐる舞台裏ー平成事件史(17)戦後最大の経営破たん
- 「もう一度、東京地検特捜部で仕事がしたかった」がん闘病の妻を見舞うため病院に通う特捜検事 「ヤメ検」若狭勝弁護士の知られざる日々ー平成事件史 戦後最大の総会屋事件(16)