1983年~1994年に発売された合計8機種のG-SHOCKの公式レストアサービスを開始
–そうこうしている内に作業が完了しました。だいたい組み付け作業だけで30分ぐらいでした。 多田さん:届いた状態から程度を確認し、分解、調整、組み立てまでで順調にいけば30分~1時間程度の作業ですね。ただ、裏蓋が開かないなどの症状があると、もっと時間はかかります。 –普段の作業にレストアサービスが追加されるわけですから、センター長は人員配置などで頭を悩ませそうですね。 松崎さん:レストアサービスは高いスキルを持った修理技術者でなければ務まらないので、メンバーはほぼ決まっています。彼らが届いた順番で作業に取り掛かるため、作業完了までに3か月はお時間をいただくようにしています。 難波さん:ゆくゆくはレストアサービスが常時受け付けられるような体制ができたら良いのですが、それは現状だとまだまだ難しいですね。前回のフロッグマンのように、リクエストの多いモデルを徐々に増やすことでご期待に応えていければと思っています。
編集後記
レストアサービスの金額は約1万円。「そのサービスを利用するなら新品を買う」という声は社内外であったという。ただ時代は変わり、SDGsの流れから「物を大切にする」ことがより尊ばれるようになると、このレストアサービスはむしろプラスのイメージをG-SHOCKにもたらすようになった。 少し話は逸れるが、高級時計の世界では「永久修理」を謳うブランドが存在する。自社製品である正当性が認められれば、どの年代のものでも修理を受け付けるというものだ。「世代を超えて使える」と言いながらも一般的なメーカーが部品の保有期間を数十年と定めているなか、永久修理のフレーズは非常に魅力的に映るだろう。 今回のG-SHOCKのレストアサービスは、上記の「永久修理」に通じるものがある、と筆者は感じている。30年以上も使ってきた腕時計である。それほど長く人生を共にしてきた腕時計が1万円で復活するのであれば、喜んでレストアサービスを利用する人はいるに違いない。その事実は、何よりも今回の取材のプレゼンテーション時に見せてもらった利用者の声で証明された。腕時計の価値を価格で語ることなかれ。そう改めて思い至る取材となった。
Text/Daisuke Suito(WATCHNAVI)