トランプ氏に身構える中銀、ショック警戒-25年の利下げは慎重な構え
日本銀行
日銀の植田和男総裁は、次の利上げのタイミングに関し、難しい判断を迫られる。
インフレ率は2年半余りにわたり日銀の2%の目標に達するか、それを上回る水準で推移している。経済成長は続いており、超低水準から金利を引き上げるには十分長い期間と思われる。利上げは大幅安となっている円相場を支える効果も期待される。
1月の金融政策決定会合は、トランプ氏の米大統領就任式(20日)直後の23、24日に開かれる。植田総裁は、警戒を要する主な不確実要因の一つとして、トランプ次期政権の政策を挙げた。3月まで待てば、米国経済と国内の賃金動向についてより明確な認識が得られるだろう。25年度予算の早期成立を目指す石破茂首相の少数与党政権にも時間的余裕が生まれよう。
結局は円相場が決め手になるかもしれない。
BEの木村太郎シニアエコノミストは「植田総裁が12月の会合で、1月の利上げの下地をつくると予想していたが、実際にはそうならなかった。彼の慎重なアプローチは、市場環境や政治情勢が好転した場合に動ける一定の裁量を残したいと日銀が考えている様子をうかがわせる。1月に利上げが決まるというわれわれの強い確信に変わりはない。インフレ率が日銀の2%目標近辺にとどまる可能性がますます高まっているように見えることが理由だ。円安も上振れリスクを高めるだろう」と分析した。
米連邦準備制度
BEのチーフ米国エコノミスト、アナ・ウォン氏は「米連邦公開市場委員会(FOMC)は、24年最後の会合でタカ派的姿勢を示し、25年の利下げが合計50bpにとどまるとの想定は、市場の期待を裏切った。それでも25年と26年にそれぞれ合計75bpの利下げに結局動かざるを得ないとわれわれは考えている。失業率は引き続き上昇し、25年末に4.7%、26年末に5%に達しよう」と見解を示した。
原題:Trump Haunts Central Banks Primed for Wary Rate Cuts in 2025(抜粋)