<上海だより>中国で生きる力、エネルギーを蓄える上海の朝ごはん
近年日本では世界各国のオシャレな朝ごはんが注目されていますが、意外と隣国である中国の朝ごはんには注目が集まりません。台湾は何かと話題に上がりますが、大陸側に至ってはほぼ注目度ゼロに等しいでしょう。もちろん、衛生面や安全性の問題もあって、中国の食事に対するイメージは悪いのですが、一方で日本全国に中華料理屋が当たり前のようにあることを考えると、その落差は不思議なほど大きいです。 また、日本の中華料理屋で出されているメニューの多くは現地の料理とはだいぶ異なる、あくまで“中華風”料理かなという気もします。また、中国という巨大な国では当然のことながら各地域の食事文化は大きく異なります。ですので、今回は上海の定番朝ごはんを紹介したいと思います。
まず、台湾が人気の日本にも親しみやすいのが豆漿(ドウジァン:豆乳)でしょう。台湾旅行に行かれた際に阜杭豆漿のような名店で長時間並んだ方も多いのではないでしょうか。豆漿には無糖無調整タイプと甘いタイプ、塩辛いタイプなどがありますが、上海の朝ごはんでは塩辛いタイプの咸豆漿(シエンドウジアン)が定番です。大陸でも台湾発祥のチェーン店が一般的にありますが、咸豆漿は上海近辺の江蘇省にルーツがあり、上海の街中には個人経営のお店が多くあります。
そして豆漿との定番セットとして中国の揚げパン・油条(ヨウティアオ)が欠かせません。美味しいお店の油条はそのまま食べても美味しいですが、ちぎって咸豆漿に浮かべてふにゃふにゃにさせて食べるのがまた美味です。
また、近年日本でも池袋や上野などでの出店が増えているのでご存知の方も多い焼き小籠包・生煎包(シェンジェンバオ)も欠かせません。「焼き」とはいうものの、ほぼ「揚げ」に近くサクサクの表面に、内側に溜まっているアツアツの肉汁、そしてその肉汁が染み込んだ皮の内側が美味しい焼き小籠包の判断基準です。
そして上海といえばやはり、もち米のおにぎりです。特に、おにぎりの中に塩漬け卵の黄身が入ったものが絶品です。しかし、非常に巨大な上にもち米が多いため、食後に若干の胃もたれが生じるので、無糖無調整の豆漿と一緒に食すのがオススメです。