【全文】BBC日本語版開設(中)「ソーシャルがニュースの編成に影響力」
デジタルメディアは数字への誘惑が常にある(田端)
加藤:今おっしゃった、まさにシリア難民の少女のイラストの件ですとかは、おっしゃったようにBBC側も察知して記事にして、それを私どもが日本語にして、それでぐるぐる回るという、そういう現象が顕著ですね。手前みそかもしれませんけれども、BBCが取り上げたぞっていうこと自体がまたTwitterで話題になったりして、そういうニュースがぐるぐる回る感があると思うんですけども、アジェンダセッティング、編集よりは編成だっておっしゃったのは、例えばSmartNewsさんとかLINEさんで、こういう選び方をするのか、こういう並べ方をするのか、こういう切り取り方をするのかというのが、オールドメディアと違ったりするわけですよね。そこの先ほどの恋愛やファッションもそうですけれども。その辺は何か、手の内を教えていただきたいといいますか、こつみたいなのはあるんですか。 田端:先ほどジムさん、オーディエンスが決めるっていうふうにおっしゃってたんですけども、バリューは。それはそのとおりなんですけども、デジタルの場合は、特にデジタルメディアの場合はアプリだろうがウェブだろうが、分かりやすくアクセス解析で常にリアルタイムで見れるので、アクセスをとにかく最大化させるという方向への誘惑が、トラディショナルなメディアよりもずっとずっとずっと常に働いて、もう誘惑され続けまくってるような状況です。 その中で、ただただ、とにかくアクセスさえ取れりゃそれでいいのかということに関しては、さすがにそれだとまずいよねというのは、これはたぶん日本だと、SmartNewsさんもそうだろうし、われわれもLINEも、例えばライブドアニュースもずっと、あるいはおそらくYahoo!さんも、そういうのは程度の差こそ、グラデーションがあるんですが、とにかくアクセスさえ取れりゃいいんだという方向になると本当に。 実は最近ちょっとテレビの、朝7時台のテレビとかは別に、例えば『ZIP!』や「めざまし」が、あれは本当にニュースなのかというと、ニュースじゃないような気もするみたいなのも含めて、だいたいメディア全般そうなんですけども、デジタルメディアのほうがより広告売り上げにも直結して、記事ごとの、例えばページビューが見れたり、もっと言うとそこに対して記者の個人の査定もひも付けるっていうこともできる。インセンティブとかですね。インセンティブボーナスみたいな。そこまで考えるとすごくその誘惑は強く働いていて、それを、それだけじゃ駄目なんだよなあと思いながら、じゃあどの程度どこまでやるのかっていうことに関しては正直、程度を見てバランスでとしか言いようがないですけども、とにかくその誘惑が強いことは紛れもない事実ですね。