LVMHはプレミアムパートナーに。2024年パリ 五輪 で世界のオーディエンスを狙うブランド各社
LMVHはプレミアムパートナーに
米GLOSSYの取材に応じたプーマ(Puma)の広報担当者は、オリンピックに向けて、複数スポーツをテーマにしたキャンペーンを計画していると語った。ナイキ(Nike)のコンシューマー/商品&ブランド担当プレジデントであるハイディ・オニール氏はメディアとのインタビューで、パリオリンピックについて「当社のマーケティング予算で最大の支出項目」だとし、「ナイキにとって、久しぶりに訪れた大きなチャンスだ」と述べている。 一方、TVネットワーク各社も、世界のトップアスリート(多くが著名なパーソナリティでもある)が集結するオリンピックの収益機会を最大化すべく動いている。バラエティ(Variety)誌によると、パリ大会の米国向け放送権を有するNBCユニバーサル(NBCUniversal)は、より幅広いファン層の獲得を目指し、ポップカルチャー系エンターテインメントの要素を取り入れた観戦体験の提供に注力する。同社は7月26日から8月11日まで、試合と関連番組で合計7000時間を超える中継を予定しており、すでに12億ドル分(約1800億円分)の大会広告枠が販売済みであるという。 ファッションブランドでは、LMVHがパリ2024の公式スポンサーとしてプレミアムパートナーの地位を確保したため、他社がプレゼンスを発揮できる余地は限られている。しかし、ほかのブランドが各国五輪代表選手団と提携して公式ユニフォームと式典用服装のデザインや製作を担当する例は多くある。たとえばラルフローレン(Ralph Lauren)は、米国選手団向けに、愛国心を象徴するデザインの開会式用公式ユニフォームを提供する。一方、ルルレモン(Lululemon)はカナダ選手団の公式ユニフォームを手がけている。
ブランドアンバサダーの枠を超えたアスリートたち
アスリートは、もはや大型パートナー契約をもたらすだけの存在ではない。トップ選手の多くがブランド各社の商品開発にも関わるようになっており、結果として、選手のパフォーマンスを支える高度な技術を活かした商品や、各自のプレースタイルを反映した商品が生まれている。P448はZ世代のオリンピック代表候補の協力のもと、スケートボードシューズのソールとアッパーのデザインを刷新した。 「大手スポンサーがついているのに十分な待遇を受けていない選手が多いし、スポンサー契約締結のチャンスも限られている」とカルキン氏はいう。「当社ではそんな選手たちに、ブランドアンバサダーとしてだけでなく、デザイナーとしても関与してもらっている。ミーティングを重ねたうえでイタリアへ招聘し、商品テスト、使用感のフィードバック、コンテンツ制作などで協力を得ている」。 ブランドの商品支援から出発したアスリートが成長して、ファッションデザイナーや起業家として活躍する例は多い。たとえばバスケットボール選手のラッセル・ウェストブルックはオナー・ザ・ギフト(Honor The Gift)、フットボール選手のメガン・ラピーノはリ・インク(Re Inc)と、それぞれ自身のアパレルブランドを立ち上げた。これらの事例を受けて、若手アスリートも、競技スポーツの知見とファン基盤を活かしたコ・ブランディング商品によるパートナーシップに大きな可能性を見出すにちがいない。 [原文:Fashion Briefing: How brands are getting involved with the 2024 Olympics] ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:SI Japan、編集:戸田美子)
編集部